研究課題/領域番号 |
23K04303
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
程 衛英 東北大学, 工学研究科, 講師 (40739661)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ドメイン変換 / 非破壊検査・評価 / マイクロ波 / 損傷 / 波数・空間ドメイン / 周波数・時間ドメイン / 電磁誘導-赤外線サーモグラフィ / 信号処理 / 画像化 / 位置同定 / 寸法評価 |
研究開始時の研究の概要 |
通常の非破壊検査・評価は、〈周波数・時間〉領域における計測信号により位置・寸法などの空間パラメータを同定・評価する。 本研究では、より対象物の物理の本質を反映する波数に着眼し、信号処理法を駆使して〈周波数・時間〉ドメインにおける計測信号を〈波数・空間〉ドメインに変換し、空間ドメインに画像化することを図る。よって、より直接に損傷の位置・寸法を評価可能な方法を開発する。電磁気非破壊検査・評価をケーススタディとする本研究は、ほかの物理原理に基づく ‘波’や’場‘を用いた空間上の対象物を検出・評価する非破壊検査・評価や資源探査などのフレームワークにもなる。
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研究実績の概要 |
本研究では、波数に注目し、信号処理法を駆使して〈周波数・時間〉ドメインにおける計測信号を〈波数・空間〉ドメインに変換し、その後、空間ドメインにおいて画像化することを目指している。これにより、より直接に損傷の位置や寸法を評価する方法を開発する。具体的には、‘near region’と’far region’にある検査対象の電磁気非破壊検査・評価、そして、マルチフィックスにおける検査・評価においてそれぞれの目標を設定し、研究を実施する。 ‘far region’における対象の検査・評価において、初年度では、マイクロ波を用いたパイプ内面の減肉検査・評価を行った。実機に近い伝搬中にモード変換が発生し、異なるモードが混在する状況下での測定実験を実施し、信号を収集した。また、マクロ波のシミュレーション解析手法を習得し、測定データの物理解明や分析を取り込んだ。現在はデータの整理作業を進行中である。 マルチフィックスにおける検査・評価においては、電磁誘導―赤外線サーモグラフィにおける欠陥検出・サイジング法を構築するために、電磁気―熱伝導におけるマルチフィックスシミュレーション解析を実施した。励磁プローブの構造や周波数、欠陥形態、欠陥と励磁プローブの相対位置などの諸因子が欠陥周囲の温度分布や各箇所の温度の時間変化に与える影響を明らかにした。また、信号を時間・空間・周波数ドメインで分析・変換し、より鮮明に欠陥を識別可能な特徴量やより深い欠陥をサイジング可能な特徴量を抽出した。現在は測定データに基づく分析を進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画において、初年度(2023年度)には順問題解析と計測の準備を実施することである。 具体的に、目標①である’far region’にある検査対象の電磁気非破壊検査・評価においては、全長領域にわたるモード変換及び信号の特徴を解明する。2023年度中に、マクロ波のシミュレーション解析手法を習得し、実機に発生している非全周減肉や内面半径が緩やか変化する減肉の信号解明を目指し、シミュレーション解析を行った。マイクロ波理論とシミュレーション解析に基づき、減肉の厚さ、厚さ変化、減肉長さが信号に与える影響を明らかにし、減肉サイジングの手法を検討した。また、Vector network analyzer を購入し、測定環境をほぼ整えた。 目標2である‘near region’にある検査対象の電磁気非破壊検査・評価の一部は、同時進行中の基盤研究(C)20K05000 「数理モデルに基づいた電磁気特性や初期状態の電磁気特性に依存しない損傷評価法の構築」で実施された。波数に基づいた分析も行っていた。 目標③のマルチフィックスにおける検査・評価においては、電磁気―熱伝導におけるマルチフィックスシミュレーション解析を実施しし、励磁プローブの構造や周波数、欠陥形態、欠陥と励磁プローブの相対位置などの諸因子が欠陥周囲の温度分布や各箇所の温度の時間変化に与える影響を明らかにした。また、信号を時間・空間・周波数ドメインで分析・変換し、より鮮明に欠陥を識別可能な特徴量やより深い欠陥をサイジング可能な特徴量を抽出した。さらに、電磁誘導―赤外線サーモグラフィの測定システムを構築し、基礎試験を実施した。現在は測定データに基づく分析を進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度では、シミュレーション解析を実施するための手法の習得や、シミュレーション解析より得られた信号の分析、計測システムの構築、及び基礎試験を行ったが、来年度より本格的なアルゴリズムの構築や測定データに基づく解析・分析を行う予定である。 目標①のである’far region’にある検査対象の電磁気非破壊検査・評価では、シミュレーション解析や理論分析から得られた知見を計測信号への適用を計画している。さらに、ドメイン変換法を構築し、波数・空間領域での展開を予定している。 目標2である‘near region’にある検査対象の電磁気非破壊検査・評価では、周波数領域の信号を波数領域に変換し、波数領域での分析を行い、可視化を目指す方針である。 目標③であるマルチフィックスにおける検査・評価では、測定と測定データの分析に重点を置く。昨年度のシミュレーション解析信号から得られた欠陥識別特徴量や欠陥深さ評価特徴量を測定データに適用し、また、波長の観点よりデータを分析・まとめる予定である。
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