研究課題/領域番号 |
23K04306
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
陳山 鵬 三重大学, 生物資源学研究科, 特任教授 (50231428)
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研究分担者 |
池浦 良淳 三重大学, 工学研究科, 教授 (20232168)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 設備点検・診断ロボット / スマート設備診断技術 / 知能ロボットシステム / 信号処理 / 情報処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究で究明・確立する内容は以下の通りである。 (1)各種センサ(音響,超音波,赤外線,視覚など)により遠隔または近接で検出できる設備異常種類と検出感度の究明 (2)異常早期検出,異常種類判明のための信号処理法,特徴抽出法および状態識別法の確立 (3)回転機械設備を自律的に巡回点検するための自律走行法および障害物回避法の確立 (4)異常設備を自律的に探索するための誘導制御法の確立 (5)設備異常部位を自律的に探索するためのマニピュレータの知的制御法の確立
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研究実績の概要 |
本研究では、スマート設備診断工学と知能ロボット工学との融合により、生産プラントにおいて数多くの回転機械設備(以下、設備)を広域かつ自律的に点検・診断できるスマート設備点検・診断ロボットに関する基礎研究を行う。2023年度には、以下の内容について検討・遂行した実績が得られた。 1.スマート設備診断法について 設備診断のために計測された信号を用いて、設備状態が正常か異常かを自動的に判定する機能を実現するために、次の諸方法について研究・確立を行った。 a) 異常の識別感度を向上するために、計測した信号から微弱な異常信号を自動的に抽出する方法、b) 抽出された信号から異常を自動的に識別できる特徴量を抽出する方法、c) 異常の程度(注意、危険)を自動的に判断する方法。 2.点検診断ロボットの自律走行について ファジィ制御を用いてあらかじめ与えられた設備点検ルートに沿って、自律走行制御におけるメンバーシップ関数と制御ルールを調整し,軌道追従性能の評価を行った。ファジィ制御を用いて軌道追従をする研究はすでに行われており,先行研究ではファジィ制御のメンバーシップ関数と制御ルールを人工知能法(遺伝的アルゴリズムに(GA)など)により最適化していた。しかし,遺伝的アルゴリズムによる最適化の欠点として,最適化した結果のみしか分からず制御要素間の因果関係が明らかでなく、ファジィ制御の入力要素や制御スールを改良するための根拠を提供することが難しいことが挙げられる。そこで本研究では,先行研究と近しい条件下で遺伝的アルゴリズムを用いずにメンバーシップ関数と制御ルールを変更した際に,軌道追従の性能に与える影響を調査し、今後の人工知能手法によるファジィ制御システムの最適化の研究に根拠的な基礎資料を提供した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.スマート設備診断法については以下のように十分な研究成果が得られた。 回転機械の異常を早期に検出するために、測定した信号のパワースペクトル密度における各周波数帯域の情報を順次抽出して回転機械異常を精度よく検出する方法を提案した。また、軸受複合異常を検出するために、異常の瞬間スペクトルの自動抽出法を提案し、複合故障振動信号から単一異常の特徴信号を正のkシグマ規則によって抽出して異常種類を識別することができた。また、衝撃的なノイズが伴う設備異常を検出するために、ノイズ除去のための統計情報フィルタ、および特徴パラメータを用いた主成分分析手法を組み合わせた診断手法を提案した。さらに、AIの手法であるベイジアンネットワーク(BN)と振動信号による低・中速軸受異常の自動診断法を提案した。 日本設備管理学会平成5年度秋季研究発表大会において「AIを活かしたスマート設備診断技術の最新動向」という特別講演を行い、また、日本機械学会第21回評価診断シンポジウムにて「設備診断技術に関する理論探求と実践開発」という特別講演を行った。 2.車両ロボット技術については、購入した最新型のロボカーの納品がやや遅れたため、実機検証に関する研究進展が若干遅れているが、様々な研究活動を行い、次のような成果が得られた。 車両ロボットのファジィ制御法について、メンバーシップ関数のチューニングにより制御要素のどの部分がロボットの軌道追従に大きく影響するのかを調査・評価して、今後の人工知能手法によるファジィ制御システムの最適化の研究に基礎資料を提供した。また、IIFES 2024展示会にて「スマート設備点検・診断ロボットに関する研究」という内容を展示・発表し、日本機械学会第21回評価診断シンポジウムにて「スマート設備点検・診断ロボットに関する研究 ー過去の研究内容・成果および今後の課題・展望ー」を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
1.スマート設備診断技術に関する研究については、設備診断のために計測された信号を用いて、設備状態が正常か異常かを自動的に判定する機能を実現するために、次の諸方法を研究・確立する。 a) 異常の識別感度を向上するために、計測した信号から微弱な異常信号を自動的に抽出する方法、b) 抽出された信号から異常を自動的に識別できる特徴量を抽出する方法、c) 異常の程度(注意、危険)を自動的に判断する方法。設備の状態が正常と判定されれば、巡回点検を継続するが、異常と判定された時に設備管理室へ警報を発するとともに、異常種類を精密に診断するために異常設備を探索して、その近傍まで自律的に移動する。 2.知的ロボット技術については、次の諸内容を研究・確立する (1)スマート設備点検・診断ロボットは、予め与えられた設備点検ルート沿って、設備を自律的に巡回点検する。設備の異常を感知した後、更に異常設備を特定して異常種類の精密診断を行うために、異常設備を自動的に探索して接近する。また、障害物を回避しながら点検ルートに追従し、GPS等が使えない環境においても自己位置同定・補正ができる方法を確立する。 (2)異常設備の近傍でマニピュレータを制御し、異常音源の探索法および音響センサの最適な計測位置と姿勢を効率よく決定する方法を確立する。また、マニピュレータハンドを異常設備に近づけて障害物を回避するために、熟練作業者の障害物回避手法をロボットに学習させることにより障害物回避を行う方法を確立する。
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