研究課題/領域番号 |
23K04325
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
近藤 伸也 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (50426532)
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研究分担者 |
池田 裕一 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 教授 (20202898)
野原 康弘 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, コーディネーター (80833053)
土崎 雄祐 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, コーディネーター (30794854)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 孤立地域 / 天然林 / 人工林 / 森林管理 / 土砂災害 / 河川氾濫 / 道路閉塞 / GIS / 孤立集落 / 山間地域 / 流域治水 / 道路復旧期間 / 被災者生活再建支援 |
研究開始時の研究の概要 |
山間地域では大雨や地震動を誘因とした土砂災害等によって,地域に達する数少ない道路が被害を受け,外部へのアクセスが困難になる孤立になる.山間地域は生活サービスを都市部に依存しており,住民が孤立による状況変化の認識は困難である.山間地域は人材が不足しており,被災者を支援するためには外部からの支援が必要となる.また山間地域にある田んぼの貯水能力を上げる田んぼダムの活用や森林管理による保水能力の向上により,下流域が浸水する前に安全な場所に避難する時間を少しでも稼げると考えられる. 本研究の目的は,山間地域の災害対応を先述した孤立,人的支援,資源の活用の3つの視点から支援するシステムを構築することである.
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研究実績の概要 |
山間地域の孤立タイムライン作成支援機能については、令和5年台風7号で孤立地域が発生した鳥取県鳥取市佐治町を対象に孤立の主な原因となった佐治川法面の洗堀による道路損壊の要因、傾向についてGISを用いて地理的条件を解析し、目的変数を法面の洗堀の有無、説明変数を法面勾配、川幅、河床勾配として二項ロジスティック回帰分析を行った。 また地域資源による防災力評価機能では、対象を栃木県佐野市にある秋山川の源流部から渡良瀬川合流部までの流域とし,森林管理の状況が防災・減災に与える影響を検討した.まず森林の管理率を変化させるシナリオを3通り設定した.森林の種類は基本的に標高の高い部分が天然林,低い部分が人工林になっており,両者の割合はそれぞれ40%,60%であった.「シナリオ0(ゼロ)」は現況の管理状況で,人工林すべてが管理されている状況である.「シナリオ1」は人工林の半分が管理されていない状況,「シナリオ2」は人工林すべてが管理されていない状況とし,管理されていない領域は,人工林の標高の高いところから順に設定するようにした. 防災・減災の効果は,浸食土砂量と河川流出により検討した.浸食土砂量は,USLE(Universal Soil Loss Equation)式を用いて評価した.その結果,森林の管理割合が下がるにつれて浸食土砂量は増加し,シナリオ0での年浸食土砂量に対して,シナリオ1では約3倍,シナリオ2では4倍を超えるほどになった. 河川流出に関しては,シナリオに応じた有効降雨を対象領域全体に与えて,氾濫解析ソフトのiRIC-Nays2dFloodで解析を実施した.その結果,管理割合が下がるにつれて上流部からの流出が早まりピーク流量も大きくなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
山間地域の孤立タイムライン作成支援機能については、令和5年台風7号による孤立地域が発生したため、その要因であった河川の洗掘による道路閉塞について分析できた。 地域資源による防災力評価機能では、順調に森林管理の状況が防災・減災に与える影響について評価できた。
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今後の研究の推進方策 |
山間地域の孤立タイムライン作成支援機能については、令和6年能登半島地震による道路閉塞の発生と道路復旧の実績についてデータ分析を行う予定である。 地域資源による防災力評価機能では、2023年度の氾濫解析では,シナリオごとの降雨を解析対象全体に一律に与えていた.今後は,土地利用ごとに有効降雨を変えることにより,森林管理の影響をより際立たせるような氾濫解析を実施することを目指す.さらに田んぼダムの効果も加えて,総合的な防災・減災ポテンシャルを評価できるようにする.
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