研究課題/領域番号 |
23K04331
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
小田 義也 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (30336523)
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研究分担者 |
渡辺 俊樹 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50210935)
白石 和也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震発生帯研究センター), 主任研究員 (40756491)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 深層学習モデル / 数値シミュレーション / CNN / PINN / 仮想地震観測網 / 深層学習 / 過去の被害地震 |
研究開始時の研究の概要 |
過去の被害地震において深刻な建物被害が局所的に発生したケースがたびたび報告されており、地震動の実態を把握し、被害の成因を解明することは極めて重要である。しかし、局所的な地震動の変化を観測できるような超高密度観測網は実現性が低く、実現できたとしても過去の被害地震を観測することはできない。本研究は、常設観測点のみで観測されている過去の被害地震を超高密度で疑似観測するために、分割観測方式と最新のAI技術を組み合わせることにより、観測点がない場所の地震動を推定する仮想地震観測網(Virtual Seismic Network: VSN)を開発する取り組みである。
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研究実績の概要 |
本研究では、過去に発生した被害地震の地震波形を推定する深層学習モデルの開発を目標としている。そのための第一歩として、初年度はまず、地震波形の最大振幅に着目してAIによる推定を実施した。具体的な実施内容は以下のとおりである。(1)比較的シンプルな盆地構造モデルに対して数値シミュレーションにより地震波形を合成した。合成波形の最大振幅および地震波走時を用いて学習と推定を行うとともに、リファレンス観測点の数と配置による影響を評価した。モデルは全結合型ニューラルネットワークを用いた。その結果、最大振幅および走時は一定程度の精度で予測できたが、学習用データを増やす必要があることがわかった。一方、リファレンス観測点の数と配置による影響は比較的小さいことがわかった。(2)波形の特徴量抽出に関する予備的検討を実施した。具体的には畳み込みにより特徴量を抽出し、その後、転置畳み込みによる復元するモデルを構築した。(3)最大加速度波形記録のような時系列データを扱う機械学習の開発の一環として、波形記録から作成したセンブランスパネルを入力として速度構造を出力するCNNによる深層学習モデルを開発し、性能評価を行った。(4)物理法則に基づく深層学習(PINN)とベイズ推定による統計解析を組み合わせることで、地震波走時トモグラフィにおける推定結果の不確定性を定量化できる、新しい地下構造推定手法を開発し、国際論文で公表した。(5)2024年度に実施する石巻市桃生町における高密度地震観測のために、現地自治体との調整を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、当初計画とおり地震波の最大振幅を推定する深層学習モデルの開発を実施した。数値シミュレーションによりノイズフリーの波形データを用いた推定を実施することができた。また、リファレンス観測点の数や配置による予測結果への影響も評価した。これらの結果は今後の検討に活かされるものである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降は次のステップとして、フーリエ振幅スペクトルの推定を試みる。そのために、波形の特徴量抽出が必要であるため、CNN等を活用した深層学習モデルの開発を実施する。また、過去の被害地震への適用を行うため、石巻市桃生町において約40地点の高密度地震観測を実施する予定である。
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