研究課題/領域番号 |
23K04335
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
田中 貴幸 豊田工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (70548437)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 高濃度流 / 破堤解析 / 河道湾曲流 / 開水路乱流 / 高濃度土砂流 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,清水および高濃度土砂流を対象に,破堤を伴う河道条件も含めた洪水氾濫挙動を実験および数値解析により明らかにする.また,河道内植生および橋脚等河川構造物を有する境界条件を対象に,様々な粘性における洪水流挙動や破堤発生メカニズムを明らかにする.さらに,実河川の破堤発生状況について調査し,実験等の解析結果を基に流域治水対策にも取り組んでいく. 実験では,高濃度流にポリアクリル酸ソーダ水溶液を使用して流れが可視化できるよう工夫し,三次元乱流構造をPIV等により解析する.数値解析では,河道内の粘性を変化させたときの三次元乱流構造や破堤氾濫挙動解析を行う.
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研究実績の概要 |
異常気象に起因する豪雨災害が日本を始め,各国で多発する中,河川および氾濫域も含めた流域全体で水害を軽減させる流域治水対策を早急に進めるためには,堤防の決壊や越水による洪水氾濫の実態把握が急務となる.破堤発生箇所の予見は困難であることから,様々な手法で破堤に関する研究が行われているものの,そのほとんどが清水を扱った研究しか行われていない.破堤が発生する場合においては土砂を多く含む高濃度流となることを考慮する必要があるとともに,様々な法線形状に関する流れ構造を把握する必要がある. このような観点から,本研究では清水流や高濃度土砂流を対象とした破堤発生メカニズムに関する研究に取り組むことを目的としている. 2023年度には,河道湾曲部を有する模型堤防において,高濃度流および清水を対象に湾曲部を有する河道状況における流動機構や破堤発生状況について検討した.実験では曲率半径90cm,接線角45°の河道湾曲形状を対象とし,高濃度流における越水発生時の流動機構について流速分布等を計測した.粘性については400mg/lを対象とし,清水の0mg/lとの結果について比較した.実験の結果,0mg/lおよび400mg/lのいずれにおいても,遠心力効果により二次流ベクトルは左岸方向に向かっており,主流速は400mg/lにおいてより外岸部にて流速が大きくなる傾向となることを確認した. また,実河川を対象として,湾曲部を有する河川において二次元の洪水氾濫解析を行うとともに,三次元の街区洪水流挙動解析を行った。三次元解析について,地形データは3Dレーザースキャナを用いて取得し,解析にはAnsys fluentを用いてLES解析により非定常解析を行った.これにより,湾曲部を有する河川における氾濫流解析を行うとともに,対象地域の自治体と解析結果を共有することで流域治水対策について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には,河道湾曲部を有する河川模型を使用し,高濃度流および清水を対象に湾曲部を有する河道状況における流動機構や破堤発生状況について検討した.実験では曲率半径90cm,接線角45°の河道湾曲形状を対象とし,高濃度流における越水発生時の流動機構について流速分布等を計測した.粘性については400mg/lを対象とし,清水の0mg/lとの結果について比較した.実験はI型およびL型の電磁流速計による流速の点計測と,ビデオカメラを用いたPIVによる表面流の多点同時流速計測を行った.実験の結果,0mg/lおよび400mg/lのいずれにおいても,遠心力効果により二次流ベクトルは左岸方向に向かっており,主流速は400mg/lにおいてより外岸部にて流速が大きくなる分布傾向となることを確認した.レイノルズ応力については,いずれのCaseも両岸にて正負の極大値を示しており,内岸側のばらつきが小さく, 外岸側のばらつきが大きくなることから,外岸側に遠心力効果の影響が現れていた. また,実河川を対象として,湾曲部を有する河川において二次元の洪水氾濫解析を行うとともに,三次元の街区洪水流挙動解析を行った。二次元解析には,iRICソフトウェアのNays2DFloodソルバーを用い,非定常平面二次元による氾濫流解析を行った.地形データについては,国土地理院の地形データ(DEM)を使用した.三次元解析においては,地形データは3Dレーザースキャナを用いて取得し,解析にはAnsys fluentを用いてLES解析による非定常解析を行った.これにより,湾曲部を有する河川における氾濫流解析を行うとともに,対象地域の自治体と解析結果を共有することで流域治水対策について検討した. これらの研究遂行状況により,進捗状況としてはおおむね良好であると考える.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降は,次のとおり研究を遂行していく. ・これまでに実験を行うことができていない河道法線形状における破堤発生状況を把握するため,湾曲度合の異なる土堤模型を作成し,高濃度流および清水を対象に破堤箇所について検証を行う.また,破堤発生個所を補強した際の破堤発生状況についても実験により詳細に明らかにする. ・上記の実験結果を基に,これまでに実験を行うことができていない湾曲形状における高濃度流の洪水氾濫流の解析を行う.また,PSA水溶液の濃度を変化させて実験を行うことで,粘性の違いが破堤発生状況に与える影響についても検討する. ・様々な河道法線形状において,橋脚や植生,水制等が設置されている条件を対象に,清水や高濃度流を伴う流れの流速分布や乱流構造を明らかにする.また,境界条件の違いによる破堤発生状況についても解析を行う. ・高濃度流および清水を対象とした破堤箇所を有する河道内外の流動機構を数値シミュレーションにより解析する.本研究では iRICソフトウェアのNaysCUBEやAnsys Fluentといったソフトウェアによる解析を行うことで,河道内外の流動解析を行う.
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