研究課題/領域番号 |
23K04338
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
勝島 隆史 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00611922)
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研究分担者 |
松元 高峰 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 非常勤研究員 (20374209)
小田 憲一 日本大学, 理工学部, 准教授 (70632298)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 全層雪崩 / 灌木 / 雪圧 / 抵抗力 / ひずみゲージ / 積雪モデル |
研究開始時の研究の概要 |
斜面に成育する灌木は、全層雪崩の発生を抑制することが経験的に知られているが、その詳細は分かっておらず、全層雪崩の発生予測を困難なものにしている。本研究では、灌木にひずみゲージなどのセンサーを設置して、斜面積雪の移動に対する灌木の抵抗力を測定することで、灌木の全層雪崩の発生の抑制効果を解明する。そして、気象データから積雪状態を予測する積雪モデルに、灌木の効果を取り入れることで、灌木などの植生がある斜面での全層雪崩発生予測手法を確立する。
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研究実績の概要 |
春先の融雪や降雨をきっかけとして、積雪と地面との境界付近を滑り面とした全層雪崩が発生する。国内の全層雪崩が発生する斜面の多くでは、樹木は雪圧の作用により直立した背の高い木に成長することができず、根元が曲がり倒伏した形状の細い灌木しか生育できない。灌木は、斜面上の積雪の移動を抑える抵抗として働くことで、全層雪崩の発生を抑制する。しかし、雪崩斜面に実際に生育する灌木の抵抗力を測定した事例はなく、斜面積雪の安定化に対して灌木はどの程度の効果があり、どのように効果が時間変化するのか分かっていない。 本研究では、①灌木が持つ斜面積雪の安定化効果の解明、②灌木の倒伏状態の予測手法の確立、③灌木の安定化効果を考慮した新しい全層雪崩発生予測手法の確立を目的としたものである。新潟県内の全層雪崩斜面を対象として、灌木の倒伏状態と抵抗力の現地測定を3冬季行い、現象の再現性や、開発した雪崩予測手法の妥当性を確認する。 研究初年度は、灌木の倒伏状態と抵抗力を明らかにするために、斜面積雪により灌木の幹に生じる曲げひずみ量を、ひずみゲージを用いて測定した。また、雪圧によって幹が倒伏する際の力を、幹に取り付けたロードセルにより測定した。この測定と並行して、過去に取得した灌木のひずみ量の計測結果に対する解析を進めた。その結果、灌木の抵抗力における冬期間の最大値は、毎冬期で概ね同程度であったが、最大値の出現時期が年により異なることが明らかになった。また、個体の大きさが大きいほど最大値は大きく、最大値の出現時期も遅いことが明らかになった。斜面積雪による灌木の倒伏は、積雪初期に倒伏量が急増し、倒伏の限界を迎えることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
灌木が持つ斜面積雪の安定化効果の解明と、灌木の倒伏状態の予測手法の確立のための現地観測と計測結果の解析を、当初の計画に沿って行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
現地観測と計測結果の解析作業を、初年度に引き続き実施する。また、2年度目からは雪崩予測手法の確立のために、モデルの構築と検証の研究を進める。
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