研究課題/領域番号 |
23K04345
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
米山 望 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90371492)
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研究分担者 |
馬場 康之 京都大学, 防災研究所, 准教授 (30283675)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 黒津波 / 数値解析 / 密度効果 / 津波波力 / 土砂津波 / 底泥巻き上げ |
研究開始時の研究の概要 |
海底や河床の土砂(底泥)を巻き込んだ津波が来襲することにより引き起こされる被害を 対象にそれを再現できる解析手法を開発整備してその被害メカニズムを把握したうえで、現地へ適用して被害の予測評価を試みる。 具体的には、 (1)海底の底泥を巻き込むことにより密度や粘性が変化した津波(いわゆる黒津波)が防潮堤等に衝突すると津波波力が通常の津波よりも増大する問題、 (2)津波が河床の底泥を巻き上げながら河川を遡上することにより災害時の水道水取水に影響を与える問題、 について検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では底泥を巻き込んで密度が上昇した津波(黒津波)がもたらす被害について検討する。今年度は、検討のための数値解析コードを構築しその妥当性を検証したうえで、数値実験を行い、密度が上昇した津波の波力が密度増加割合以上に上昇するメカニズムについて検討した。具体的には、 a) 三次元土砂移動解析モデルの開発:黒津波挙動を再現できる解析モデルを構築し、水理実験結果と比較してその解析精度を検証した。今年度は土砂を巻き込んでいない通常の津波が防潮堤に衝突した場合の実験結果を対象とし、防潮堤前面での水位時系列や防潮堤に作用する津波波力の比較を行った。その結果、①防潮堤が水中に設置されているケース、すなわち、防潮堤前面に水深がある場合には、本解析の解析結果は実験結果を高精度に再現することが明らかになった。一方、②防潮堤前面に水深がない場合には、実験結果を概ね再現するものの、解析が不安定になることがわかり、今後の課題とした。 b) 黒津波の波力増加メカニズムの解明:上記モデルを用いて、津波の密度および粘性を変化させる数値実験を行った。その結果、①防潮堤が水中に設置されているケースでは、防潮堤が受ける津波波力は、津波密度の上昇割合を上回った割合で上昇することが分かった。そのメカニズムについては今後の課題とする。また、②防潮堤前面に水深がない場合には、津波波力は津波密度の上昇割合と概ね同程度の上昇であることが分かった。また、粘性を変化が津波波力に与える影響は大きくないことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、三次元土砂移動解析モデルを構築して、その精度を水理実験と比較して検証するとともに、黒津波の波力増加メカニズムの解明のための数値実験を行い、黒津波の密度変化と津波波力の変化との関係に関する知見を得ているため、上記区分のように判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下の項目について検討する。 1)密度上昇にともなう津波波力増大メカニズムの解明:今年度の検討の結果、密度上昇の割合以上に波力が増大する場合があることが分かった。次年度は、どのようなメカニズムで波力の増大が生じるのかについて、さまざまな解析を行って明らかにしていく。 2)黒津波発生のための解析モデルの構築:今年度の検討では、すでに密度が上昇した状態の津波を対象に検討したが、実際には、ある地点における底泥を巻き上げることによって黒津波が生じる。そのため、次年度は、底泥の巻き上げを適切に予測評価できる解析モデルの構築に取り組む。
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