研究課題/領域番号 |
23K04352
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
鈴木 昌弘 名城大学, 理工学部, 教授 (00376881)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 鉄道 / 竜巻 / 空気力 / 列車 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国で竜巻の強風により列車脱線転覆事故が発生している。強風時の列車運行の安全性評価には,列車に加わる空気力の算定が必要である。しかし,竜巻により列車に加わる空気力については不明の点が多い。そこで,本研究では竜巻状気流発生装置と模型車両走行装置を用いて竜巻に遭遇した列車の状況を実験的に再現し車両に加わる空気力を推定することで,竜巻による列車転覆リスク評価のための基礎データを提供する。
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研究実績の概要 |
本研究では、中規模の竜巻を想定し、竜巻状気流発生装置と模型車両走行装置を使用して竜巻状気流中を走行する列車にかかる空気力を実験的に推定することを目指している。初年度となる2023年度では、これまで開発された竜巻状気流発生装置を参考に、より大型で強力な気流発生装置を設計し、その製作を進めた。
まず、これまでの装置が生成する気流について多孔ピトー管を用いて3次元速度分布を測定し、新しい装置の設計の参考とした。次に、10分の1程度の縮尺模型を製作し、その構造を検討し、それらを基に発生装置の設計を行った。気流発生装置は、内側ダクトの上方に設けたファンをモーターで駆動し、上昇気流を発生させ、その気流をガイドベーンによって旋回流に変えた上で、流れを外側ダクトを通して、地面板に導く。このようにすることで地面板上に竜巻状旋回流を発生させるものであり、今回設計したものは、設置場所の制約等も考慮し、直径1250㎜のファンを1.5 kWのモーターで駆動する装置とした。アルミフレームを支持体として用い、ダクトは合板とポリスチレンフォームで形成した。
装置製作と並行して、特殊な装置である竜巻状気流発生装置を用いずに一般的な風洞で竜巻状気流中を走行する列車にかかる空気力をどの程度推定できるのか調査した。まず、今回測定した気流発生装置の速度分布のうち気流速度が最大となるコア半径における鉛直方向の速度分布を風洞で再現し、次に、静止模型車両を風洞内に設置し空気力を測定した。その結果と竜巻の理論モデルから算定される水平方向の風速分布から車両に加わる空気力を推定し、その推定値を以前に測定していた竜巻状気流発生装置を用いて得られた車両に加わる空気力と比較したところ、横力はある程度推定できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では初年度に竜巻状気流発生装置が完成後,多孔ピトー管やPIV(粒子画像流速測定法)等を用いて気流の速度分布を調べるところまで実施するはずであったが,設計と製作に時間がかかりそこまでは進まなかった.
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今後の研究の推進方策 |
竜巻状気流発生装置を完成させ,多孔ピトー管やPIV(粒子画像流速測定法)等を用いて竜巻状気流発生装置の生成する気流の速度分布を調べ,Bakerらが提案した竜巻状気流発生装置の満足すべき相似パラメータの値を確認する.続いて,この気流発生装置と模型車両走行装置を組み合わせ,模型車両を用いた走行実験を行う.模型車両は最も大きな空気力を受ける先頭車両を主に測定する.空気力は車両模型の表面圧力を測定することで算定する.表面圧力はこれまでの実験よりも測定点数を増やし,空気力評価の精度を向上させる.これらの装置を用いた実験により,収束層高さ,列車速度,走行経路等が車両に加わる空気力に与える影響を明らかにしていく.
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