研究課題/領域番号 |
23K04370
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
藤井 一郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20597645)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 非鉛圧電材料 / 単結晶 / 固相結晶成長法 / チタン酸バリウム / チタン酸ビスマスナトリウム / ニオブ酸カリウムナトリウム / 強誘電体 / 圧電体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、新しい圧電性付与方法であるACポーリングをBaTiO3、(K0.5Na0.5)NbO3 (KNN)系、(Bi0.5Na0.5)TiO3-BaTiO3 (BNT-BT)系非鉛圧電単結晶に使うことで、その圧電性を飛躍的に向上させることを目的とする。KNN系、BNT-BT系単結晶は固相結晶成長法を用いて作製し、BaTiO3単結晶は購入する。ACポーリングは条件を変えて行い、圧電性が向上する条件を明らかにする。また、その起源についても調査する。本研究により高性能な非鉛圧電単結晶材料が作製できれば環境負荷の高いPb(Zr,Ti)O3を代替することが可能となり、この問題の解決に大きく貢献できる。
|
研究実績の概要 |
本研究では、3種類の非鉛圧電単結晶試料の圧電特性とドメイン構造へのACポーリングの効果を調査する。1年目ではその準備として各単結晶について次の研究を行った。 (1)BaTiO3単結晶:共振法で<110>方向と<111>方向の圧電定数d33とd31を測定するための単結晶試料を購入した。受け取った単結晶試料のドメイン構造を偏光顕微鏡と圧電応答顕微鏡を用いて観察した。これに先立ち圧電応答顕微鏡は譲り受けたものをメーカーによる立ち上げ作業と動作確認を行った。単結晶試料の誘電特性、強誘電特性を評価した。dcポーリングを行い、d33メータや共振法を用いて圧電特性を評価した。 (2) 0.85(Bi0.5Na0.5)TiO3-0.15BaTiO3単結晶:固相結晶成長法で{110}面を持つ単結晶を作製する焼結条件を見出した。誘電特性の温度依存性を評価し、キュリー温度が250℃程度であることを確認した。強誘電性、圧電性を評価するにあたり、リーク電流抑制のためにMnO2を添加した単結晶試料を作製した。この試料について強誘電性の分極曲線を観察できた。dcポーリング後のd33は118 pC/Nであることがわかった。 (3)(K,Na)NbO3系単結晶:固相結晶成長法で{110}面をもつ単結晶を作製するときのMnO2添加量が結晶成長と強誘電特性・圧電特性に与える影響について調査を行った。MnO2添加量は0, 0.1, 1 wt%と変化させた。いずれの添加量でも単結晶が成長することがわかった。MnO2添加量が0 wt%の単結晶では分極が飽和した分極曲線が観察されなかったが、MnO2添加量が0.1, 1 wt%の単結晶では分極が飽和した分極曲線が観察された。dcポーリングを行ったMnO2添加量が1 wt%の単結晶ではd33=300 pC/N程度の圧電特性が得られることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、3種類の非鉛圧電単結晶試料の圧電特性とドメイン構造へのACポーリングの効果を調査する。各単結晶についての現在までの進捗状況は次のとおりである。 (1)BaTiO3単結晶:共振法で<110>方向と<111>方向の圧電定数d33とd31を測定するための単結晶試料を購入した。受け取った単結晶試料のドメイン構造を偏光顕微鏡と圧電応答顕微鏡を用いて観察した。これに先立ち圧電応答顕微鏡は譲り受けたものをメーカーによる立ち上げ作業と動作確認を行った。単結晶試料の誘電特性、強誘電特性を評価した。dcポーリングを行い、d33メータや共振法を用いて圧電特性を評価した。 (2) 0.85(Bi0.5Na0.5)TiO3-0.15BaTiO3単結晶:固相結晶成長法で{110}面を持つ単結晶を作製する焼結条件を見出した。誘電特性の温度依存性を評価し、キュリー温度が250℃程度であることを確認した。強誘電性、圧電性を評価するにあたり、リーク電流抑制のためにMnO2を添加した単結晶試料を作製した。この試料について強誘電性の分極曲線を観察できた。dcポーリング後のd33は118 pC/Nであることがわかった。 (3)(K,Na)NbO3系単結晶:固相結晶成長法で{110}面をもつ単結晶を作製するときのMnO2添加量が結晶成長と強誘電特性・圧電特性に与える影響について調査を行った。MnO2添加量は0, 0.1, 1 wt%と変化させた。いずれの添加量でも単結晶が成長することがわかった。MnO2添加量が0 wt%の単結晶では分極が飽和した分極曲線が観察されなかったが、MnO2添加量が0.1, 1 wt%の単結晶では分極が飽和した分極曲線が観察された。dcポーリングを行ったMnO2添加量が1 wt%の単結晶ではd33=300 pC/N程度の圧電特性が得られることがわかった。
|
今後の研究の推進方策 |
3種類の非鉛圧電単結晶試料の圧電特性とドメイン構造へのACポーリングの効果を調査するために、今後、次のような研究を実施する。 (1)BaTiO3単結晶:温度、電界強度、周波数、電界印加回数を変化させてACポーリングを行い、圧電定数d33とd31を測定する。また、いくつかのACポーリング条件においてドメイン構造を観察する。ドメイン構造と圧電定数の関連について調査する。 (2) 0.85(Bi0.5Na0.5)TiO3-0.15BaTiO3単結晶:固相結晶成長法で{100}面を持つ単結晶、{111}面を持つ単結晶を作製する焼結条件を調査する。それら単結晶の誘電特性、強誘電性、圧電性の評価を行う。 (3)(K,Na)NbO3系単結晶:固相結晶成長法で{110}面をもつ単結晶を作製する。温度、電界強度、周波数、電界印加回数を変化させてACポーリングを行い、圧電定数d33を測定する。また、いくつかのACポーリング条件においてドメイン構造を観察する。ドメイン構造と圧電定数の関連について調査する。
|