研究課題/領域番号 |
23K04381
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
横井 達矢 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (70791581)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 機械学習原子間ポテンシャル / 粒界 / 第一原理計算 / 機械学習型原子間ポテンシャル |
研究開始時の研究の概要 |
一般粒界-格子欠陥相互作用による原子構造と特性を系統的に解明するため、機械学習と第一原理計算を融合させ、様々な格子欠陥の特性を高精度・高速で予測できる汎用的手法『階層ニューラルネットワーク記述子・原子間ポテンシャル』および『多体記述子』を確立し、種々の分子シミュレーションに統合する。そして代表的な立方晶系結晶の粒界および格子欠陥に適用し、原子構造や熱力学的安定性、ダイナミクスを解明する。同様の解析を非対称粒界や混合粒界、ナノ多結晶に展開することで、一般粒界に適用できる知見を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究では,多結晶における一般粒界と他の格子欠陥との相互作用による原子構造変化と特性への寄与を原子レベルで解明する.そのためには多結晶を想定した大規模計算セルを用いて,多様な格子欠陥の原子構造やエネルギー的安定性を高速・高精度で評価できる理論解析手法が必須となる。そのための手法として,人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いた学習可能な記述子を構築し、学習から最適な関数形を構築するANN記述子・原子間ポテンシャルを実装した.そして,従来のANNポテンシャルで用いられてきた対称関数やチェビシェフ多項式に比べて,本研究で実装した記述子の方が,学習・テストデータの誤差がより小さくなることが示された.また,計算速度も従来の記述子と同程度であり,高速性を維持した分子シミュレーションが可能であることが示された.さらに,本手法で課題となる学習時間がかかる問題についても,段階的に記述子・原子間ポテンシャルの学習を行うことで,汎用性を維持しつつ効率の良い学習方法を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施期間の前半で予定していた,人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いた学習可能な記述子の実装は順調に進んでいる.また,エネルギーだけでなく原子にかかる力も学習データとして用いるプログラムも既に実装が完了しており,現在は本手法と従来の記述子の誤差を比較検証する段階である.また本手法にもとづく構造緩和や分子動力学法などの分子シミュレーションのプログラムの実装も順調に進んでおり,現在は動作検証を行っている.さらに,ANNの構成を再検討することで,更なる高精度化を計画しており,研究実施期間内に性能を検証する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
まず代表的な立方晶系材料(Si,Al,MgOなど)を対象として,内因的点欠陥とすべり系の転位について形成エネルギーと緩和構造を予測する.また<001>および<110>回転軸の対称傾角粒界を中心に粒界エネルギーと原子構造を予測する.そして、これらの予測結果とDFT計算との誤差を評価する.その後、同様の解析を一般粒界に展開する.まず、対称傾角粒界に非対成分を加えることで非対称傾角粒界モデルを作製する.また、傾角粒界にねじり角成分を加えることで混合粒界モデルを作製する.そして非対称性や混合成分が、点欠陥・不純物の形成エネルギーと緩和構造に及ぼす影響を、対称傾角粒界との比較により明らかにする.また得られた粒界構造をもとに,粒界-転位相互作用の解析を行い、非対称・混合粒界で形成されるファセット界面や異なる構造ユニットの接続点が、転位形成や転位運動に及ぼす影響を解明する.なお、この期間の最後では、複数の粒界が混在するナノ多結晶モデルへの展開も検討する.
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