研究課題/領域番号 |
23K04387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
田口 富嗣 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 上席研究員 (50354832)
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研究分担者 |
山本 春也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 上席研究員 (70354941)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 炭化ケイ素(SiC) / ナノチューブ / イオン照射 / 透過型電子顕微鏡 / 量子ビーム / 炭化ケイ素 / ナノ材料 / 微構造制御 / 水素製造 |
研究開始時の研究の概要 |
材料に大きなエネルギーを付与することが可能なイオン、電子線やレーザー等の量子ビーム照射によりSiC系ナノ材料のナノ構造や電子構造、電気特性の改質を行うことで、「新奇ナノ構造や欠陥導入により電子構造を変化させたSiC系ナノ材料は、優れた触媒特性を発現するか?また、そのメカニズムは?」という学術的「問い」に応えるべく課題に取り組む。これにより、量子ビーム照射法により改質された新奇SiC系ナノ材料の微構造と電子構造、電気特性、及び、水分解による水素製造の触媒能との相関関係を明らかにし、高性能SiC系ナノ触媒材料の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
これまでに、多層カーボンナノチューブとSi粉末とを真空熱処理することで、多結晶炭化ケイ素(SiC)ナノチューブの創製に成功している。さらに、これら多結晶SiCナノチューブを室温にてイオン照射することにより、アモルファスSiCナノチューブを創製できることを明らかにしてきた。本年は、多結晶SiCナノチューブの室温イオン照射における透過型電子顕微鏡(TEM)その場観察及び電子エネルギー損失分光その場測定により、多結晶SiCナノチューブの密度変化に及ぼす照射量依存性を詳細に検討した。その結果、2dpa程度でアモルファスになることが分かったが、これはバルクのSiC材料に比べて2倍以上高い照射量であった。また、バルクのSiC材料の密度は、アモルファス化するまで減少しアモルファス化した後、照射量が増加すると微減かほぼ一定になる。一方で、多結晶SiCナノチューブでは、アモルファス化するまでは密度が減少することは同じだが、アモルファス化した後は、徐々に密度が増加するという全く逆の傾向を示すことを初めて明らかにした。これは、アモルファスSiCナノチューブの密度を照射量により制御することができ、バルクのアモルファスSiC材料の密度に比べて比較的高い密度のアモルファスSiCナノチューブの創製に成功したと言える。 さらに、多結晶SiCナノチューブにN等の他原子イオン注入により、また、溶液中レーザー照射法により、異種原子ドープSiCナノチューブの創製も試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多結晶SiCナノチューブのイオン照射による密度変化が、バルクのSiC材料のそれと異なった挙動を示すことを初めて明らかにし、さらに、バルクのアモルファスSiC材料に比べて、比較的高い密度を持つアモルファスSiCナノチューブの創製に成功することができた。そのため、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、イオン照射やレーザー照射による新奇構造を有するSiC系ナノ材料の創製や、異種原子ドープもしくは異種原子粒子担持SiC系ナノ材料の創製を試みる。 UPS、反射EELSやXAFS測定等により、創成された新奇構造SiC系ナノ材料の電子構造の評価を行い、さらにそれらの触媒特性評価を合わせて行う予定である。
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