研究課題/領域番号 |
23K04396
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
吉岡 朋彦 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 准教授 (50452016)
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研究分担者 |
都留 寛治 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (50314654)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | セルロースナノファイバー / コーティング / 交流電気泳動堆積 / 界面接合 / 歯列矯正ワイヤー |
研究開始時の研究の概要 |
セルロースナノファイバーはバイオマス由来の素材として活用用途の拡大が求められている。一方、「コーティング材」としてはコーティング法に検討の余地がある。 申請者はこれまでにセルロースナノファイバーのコーティングが交流電気泳動堆積法(AC-EPD)で作製できることを見出している。従来法と比べ基材への付きまわり性・接着性が飛躍的に改善することを見出した。しかし一方で基材への接着性の向上には限界があった。 そこで本研究では、セルロースナノファイバーのAC-EPDと、基材との界面接合技術を組み合わせた新しいコーティング技術を確立する。歯列矯正ワイヤーのコーティングに応用し、歯科における実用性を示す。
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研究実績の概要 |
1.セルロースナノファイバーとセラミックス粒子の交流電気泳動堆積(AC-EPD) 市販品のセルロースナノファイバーを用いて、アルミナもしくはジルコニア粒子とともにAC-EPDでステンレス304基材へ複合体コーティングを作製した。交流条件として周波数がコーティングと基材の接着性に影響があることがわかった。セラミックス粒子のみのコーティングでは機械的特性が弱い一方、セルロースナノファイバーとの複合化が特性向上に有効であった。AC-EPDはステンレス304ワイヤーへも適用可能であり、歯列矯正ワイヤーへの適用を想定して、複合体コーティングを作製することができた。 2.基材とセルロースナノファイバーの界面接合技術 ステンレス304基材表面に、セルロースナノファイバーとの静電相互作用を生じさせるためアミノ基末端のシランカップリング剤を固定化し、1.のAC-EPDを行った。アミノ基の固定化によって、基材に対するセルロースナノファイバーの接着性に向上が確認された。また、界面接合層としてステンレス304基材表面に、ドーパミン溶液への浸漬によってポリドーパミン層の作製を試みた。ポリドーパミン層が形成していても、AC-EPDによってセルロースナノファイバーとアルミナ粒子の複合体コーティングが可能であることを明らかにした。 3.歯列矯正ワイヤーコーティングの実用性検証 ステンレス304基材へAC-EPDによってセルロースナノファイバーとアルミナ粒子の複合体コーティングを作製し、色調測定を行うことで審美性改善効果の定量化を試みた。アルミナ粒子の複合化割合がコーティングの色調に影響することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複合体コーティングの作製にAC-EPDは適した手法であることがわかった。さらにステンレス304基材と複合体コーティングの界面接合技術として、シランカップリング剤固定化およびポリドーパミン層の形成を検討することができ、いずれも接着性向上に有効であることが期待できる。計画通り順調に進展している。今後、界面接合層の形成条件とAC-EPD条件の最適化が必要であり、検討を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.セルロースナノファイバーとセラミックス粒子の交流電気泳動堆積(AC-EPD) さらにAC-EPD条件を検討し、複合体コーティングの最適化を進める。コーティングの構造解析、組成分析、機械的特性の評価を行う。 2.基材とセルロースナノファイバーの界面接合技術 シランカップリング剤固定化、およびポリドーパミン層の形成を界面接合技術の候補として引き続き検討し、界面接合の最適化を目指す。 3.歯列矯正ワイヤーコーティングの実用性検証 審美性を色調測定により評価する。さらに、複合体コーティングの機械的特性を調べることで、実用性を検証する。
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