研究課題/領域番号 |
23K04402
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
斉藤 博嗣 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70367457)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 浸透性 / 繊維強化プラスチック / 織り構造 / 相関性評価 / 液体樹脂含浸成形法 / 数値シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
(1)種々の織り構造の繰り返し単位長さの3Dモデル作成時に必要となる各種寸法を、織り構造の相違をあらわす特徴量として定量化する。 (2)種々の織物基材に対する樹脂浸透性のデータベースを構築する。 (3)織り構造の特徴量を説明変数とし、織物基材の浸透性を目的変数とする多変量重回帰分析をおこない、織り構造の特徴量と浸透性の相関関係を明らかにする。 (4)テストデータによる検証ならび各特徴量を反映した粒子法モデルにより、樹脂の浸透挙動におよぼす各特徴量の影響を数値シミュレーションにより検証する。 (5)(4)の検証結果が十分でない場合は、(1)および(3)の分析手法の再検討をおこない、再度検証をおこなう。
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研究実績の概要 |
本研究では,種々の織物基材の浸透性におよぼす織り構造の特徴量の影響を定量的に評価することを目的とした.2023年度の取り組みにおいて,以下の3項目を実施した. (1)種々の織り構造の特徴量定量化データベースの構築(進捗度60%)織密度や厚みの異なる10種の平織ガラスクロスを選定し,これらの相違をあらわす特徴量と考えられる,次の各部寸法を経糸,緯糸それぞれで実測した.「繊維束長径,繊維束短径,繊維束間距離,曲率半径」.測定にあたり,それぞれの織物基材1層にVARTM法を用いて樹脂を含浸させて硬化し,断面観察により各部の寸法を測定した平均を求めた.現在はまだ十分な回数の測定がおこなえていないが,今後測定回数を増して結果の信頼性を向上させる予定である. (2)種々の織物基材の浸透性データベースの構築(進捗度50%)中央部に樹脂注入口を設けたステンレス製の金型に織物基材を設置し,Oリングをスペーサーとしてその上に厚さ15mmのガラス板を乗せて上型とした.1000hPaに調整した圧力で金型内のキャビティーを真空吸引し,織物基材に樹脂を注入して樹脂の浸透距離と経過時間の関係から浸透性を求めた.樹脂には低粘度エポキシ樹脂を用いた.こちらも測定回数が各1回であるため,測定回数を増して信頼性を向上させる予定である. (3)織り構造の特徴量と浸透性の相関性分析(進捗度10%)Pythonの機械学習ライブラリであるscikit-learnを使用し,回帰分析により織り構造の特徴量と浸透性の相関性を評価することを目的に,種々のライブラリの特徴を調査した.現在候補として検討しているのは,通常最小二乗法,Ridge回帰,Lasso回帰,Lars回帰,サポートベクター回帰である.ただし,(1)および(2)の測定回数が十分ではないため,具体的な相関分析は実施できていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)種々の織り構造の特徴量定量化データベースの構築の進捗度は,織り構造の相違をあらわす特徴量と考えられる各部寸法を経糸,緯糸それぞれで実測したが,測定回数はまだ十分ではないため60%であると判断する. (2)種々の織物基材の浸透性データベースの構築の進捗度は,織物基材に樹脂を注入して樹脂の浸透距離と経過時間の関係から浸透性を求めたが,こちらも測定回数が十分ではないため,50%と判断する. (3)織り構造の特徴量と浸透性の相関性分析の進捗度は,Pythonの機械学習ライブラリであるscikit-learnより候補となる手法を調査した段階であり,10%と判断する.
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今後の研究の推進方策 |
(1)種々の織り構造の特徴量定量化データベースの構築,および(2)種々の織物基材の浸透性データベースの構築を継続し,データの信頼性を向上させる.その上で(3)織り構造の特徴量と浸透性の相関性分析を進める.また,(4)で提案した粒子法モデルの構築を開始する. 本取り組みに関連した国際会議での発表を1件,国内会議での発表を2件おこなった.今後も本取り組みの成果を発表していく予定である.
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