研究課題/領域番号 |
23K04405
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
吉原 直記 福岡大学, 工学部, 助教 (90708869)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 電極材料 / 電気化学還元反応 / 二酸化炭素 / 金属積層構造 / 表面 |
研究開始時の研究の概要 |
二酸化炭素(CO2)の電気化学還元反応は、金属原子が有する固有のCO2吸着力により、その還元生成物の選択性が決定される。本研究では、CO2の電気化学還元反応から既報にない化学製品(燃料、化学品)への転換を実現するため、金属単結晶膜上に異種金属を様々な積層パターン(原子種の組合せ、膜厚、原子配列)にて堆積させた金属膜積層電極を作製し、単一金属では実現できない特異なCO2吸着力をその表面にて発現させ、テーラーメイドなCO2転換を実現させる。
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研究実績の概要 |
二酸化炭素の電気化学還元反応(CO2RR)は、金属原子が有する固有のCO2吸着力により、その還元生成物の選択性が決定される。本研究では、CO2RRから既報にない化学製品(燃料、化学品)への転換を実現するため、金属単結晶膜上に異種金属を様々な積層パターン(原子種の組合せ、膜厚、原子配列)にて堆積させた金属膜積層電極を作製し、単一金属では実現できない特異なCO2吸着力をその表面にて発現させ、テーラーメイドなCO2転換を実現させる。 令和5年度は、結晶構造の異なる数種類の銅箔上に亜鉛および銀を堆積させた積層電極を作製し、その表面での二酸化炭素の電気化学還元反応による生成物選択性の評価を行った。亜鉛を堆積させたCu/Zn積層電極上でのCO2RRでは、CO2からエタノールへの転換を確認した。またCu/Ag電極上でCO2RRではギ酸への転換を実現した。しかし、今年度作製した積層電極は特有の液体生成物への転換には成功したが、電流効率が非常に低くCO2から選択的な目的生成物への転換については、引き続き検討課題として残った。 さらに、バルク金属表面に積層させる原子膜合成について、炭素原子膜であるグラフェンを結晶構造を維持したまま拡大合成できる実験条件を機械学習モデルを利用して探索した。過去の実験条件データおよび画像データをもとに機械学習モデルを構築し、そのモデルをもとにグラフェンが結晶構造を維持して拡大合成する条件を予測させ、実際に予測された実験条件にてグラフェンを合成したところ、機械学習モデルの予測を超えるサイズのグラフェンを合成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異種金属膜を積層させた積層電極構造を構築し、単一金属表面では達成できないCO2吸着力を発現させ、望んだCO2還元物質の生成を実現する電極構造を探索しているが、これまでに液体生成物を選択的に転換できる電極構造を見出すことができていない。一方で、初年度は様々な金属種同士の組合せによる積層電極の作製手法について調査を進めたため、金属膜積層電極の作製手法についてはおおむね確立することができた。金属種の組合せ、堆積膜厚、結晶構造などの条件因子を組み合わせることでCO2の電気化学還元反応により選択的な目的物質への転換が実現できると考えられる。このような理由から、本研究は目標に向けて概ね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
単一金属電極上では実現できない選択的なCO2の電気化学転換を発現するため、異種金属膜を堆積させた電極上でのCO2の電気化学還元反応について調査を継続する。令和5年度に確立した金属積層電極の構造パターンに加え、さらに詳細な積層構造にも取り組み、目的とするCO2の還元メカニズムを制御可能な構造を探索する計画である。これらの調査に加えて、金属積層電極上での還元メカニズムを明らかにすることを目的に、電気化学還元反応下における中間体吸着物のキャラクタリゼーションを行うことを予定する。積層電極の構造と印加する電位条件において、電極表面で中間体組成がどのように推移していくかを分析し、積層電極構造の最適化を目指す予定である。
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