研究課題/領域番号 |
23K04427
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松嶋 茂憲 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 教授 (80229476)
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研究分担者 |
小畑 賢次 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 准教授 (70370046)
大川原 徹 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 准教授 (50632650)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 黄色系無機顔料 / Zr-yellow / V添加 / 錯体重合法 / 単斜晶ZrO2 / 正方晶ZrO2 / Al添加 / 粉末X線回折測定走査型電子顕微鏡観察 / 単斜晶ジルコニア / 黄色無機顔料 / バナジウム / 共添加 / 固体電子構造 |
研究開始時の研究の概要 |
ジルコニウムイエロー(Zr-yellow)の発色を補うため、プラセオジム(Pr)が必須成分として添加されている。Pr は資源枯渇が危惧される希少元素のため、Pr フリーの Zr-yellow の開発が重要である。本研究では、Zr-yellow 自体の発色力(光吸収力)の向上のため、以下の項目を調べる。 ①錯体重合法およびポリオール法による単斜晶ジルコニア微粒子の低温合成 ②異種元素の共添加による単斜晶ジルコニア微粒子の形状特性の制御と発色性能の向上 ③第一原理計算による実験結果の理論的検証と試料合成へのフィードバック
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研究実績の概要 |
本研究では、ジルコニウムイエロー(Zr-yellow, V4+-added ZrO2)の弱い発色を向上させ、鮮やかな黄色を呈するZr-yellowを開発する。そのため、以下の①から③について検討する。 ① 錯体重合法およびポリオール法によって単斜晶ジルコニア(ZrO2)微粒子の低温合成 ② 異種元素の共添加による単斜晶ZrO2微粒子の形状特性の制御と発色性能の向上 ③ 第一原理計算による実験結果の理論的検証と試料合成へのフィードバック 令和5年度は、錯体重合法から得られるZrO2粉体および異種元素(Al)を添加したZrO2粉体を用いて、焼成温度と出現する結晶相との関係を粉末X線回折測定および構造解析から調べた。また、走査型電子顕微鏡による形態観察およびEDX法による元素分析,UV-vis吸光度測定およびL*a*b*表色系を用いる分光測色測定を実施した。理論計算では、第一原理分子動力学計算によって構造最適化されたZrO2ユニットセルとAlを添加したZrO2スーパーセルについて第一原理バンド計算を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
錯体重合法からZrO2粒子を合成し、Vを添加すると単斜相の生成が促進され、Alを添加すると抑制されることを見出した。ZrO2の黄色発色性はV添加によってもたらされるが、発色性を高めるには、単斜晶ではなく正方晶のZrO2粒子を得なければならない。AlとVを共添加するとVによる単斜晶相の生成が抑制され、正方晶のZrO2粒子が得られることがわかった。EDX分析から、VもAlもZrO2粒子の特定部分に偏析するのではなく、粒子全体に均一に分布することを確認した。UV-vis測定から、AlとVを共添加すると、V単独添加の場合よりも吸光度が上昇した。L*a*b*表色系を用いる分光測色測定では、黄色度を示す-b*値がVとAlを共添加すると大きく向上した。この結果は、第一原理バンド計算による複素誘電関数や光学吸収係数の理論計算結果とも合致した。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の研究の推進方策) 令和6年度以降も継続して、VとAlを共添加したZrO2((V, Al)-added ZrO2)について検討を行う。錯体重合法に続き、ポリオール法による(V, Al)-added ZrO2合成を行う。2つの合成法から得られた(V, Al)-added ZrO2粉体の基礎物性(結晶構造,形状特性等)のキャラクタリゼーション,光学吸収特性および色度測定結果を比較し、最適の合成条件を見出す。並行して、Al以外の異種元素添加についても実験を進める。 (問題点及び対応策) X線光電子分光(XPS)測定および電子スピン共鳴(ESR)測定については、外部の研究機関等を利用する。
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