研究課題/領域番号 |
23K04432
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
Gubarevich Anna 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (40447529)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 焼結 / 非酸化物セラミックス / 電磁誘導 / 炭化ホウ素 / 高周波誘導加熱 / 炭化ケイ素 / 誘導加熱 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、セラミックス加工における省エネルギー化手法が注目されている。酸化物セラミックスに対しては、コールドシンタリング等の新しい焼結手法が開発されているが、炭化ホウ素や炭化ケイ素等の非酸化物セラミックスは、焼結に高温、加圧、長時間を従前通り必要とされており、省エネルギー新手法の開発が強く望まれている。そこで、本研究では、 非酸化物セラミックスの高温電気伝導度に焦点を当て、高速焼結法として高周波電磁誘導効果に着目した。高周波誘導加熱装置を用いて無加圧、助剤無添加の条件下で非酸化物セラミックスの焼結実験を行い、高周波電磁誘導効果を利用した非酸化物セラミックスの常圧高速焼結法の有効性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、 非酸化物セラミックスの高温電気伝導度に焦点を当て、高速焼結法として高周波電磁誘導効果に着目している。令和5年度では、高周波誘導加熱装置を用いて無加圧、助剤無添加の条件下で最も焼結しにくい非酸化物セラミックスの一つである炭化ホウ素セラミックスの焼結実験を実施した。以下に得られた結果の要約を示す。 (1)高周波誘導加熱装置を用いて、炭化ホウ素粉末をペレットにした試料を急速に目標温度まで加熱し、保持せずに冷却し、最高到達温度等よる影響を調べた。その結果、1950℃以上の温度領域では、緻密化が急速に進み、焼結助剤や外部からの機械的圧力を加えることなく、相対密度95%の炭化ホウ素バルク体を得られた。 (2)得られた炭化ホウ素バルク体はビッカース硬度、ヤング率、破壊靭性の機械的特性を評価した結果、いずれの特性においても良好な値を示した。 (3)高周波誘導加熱装置を用いてホウ素元素粉末と炭素元素粉末から炭化ホウ素を合成する実験を行い、電磁誘導効果により原子拡散が促進されると示唆された。 (4)緻密化の機構について理論計算を用いて検討した。粉末の緻密化には、自由表面エネルギーの最小化と圧力などの外部応力によって駆動される物質移動が必要である。従来の炭化ホウ素の焼結では、高い圧力または焼結添加剤の適用が必要であり、これらによって物質移動が促進される。本研究では、常圧の条件下で誘導加熱装置を用いて炭化ホウ素の粉末を加熱することで、急速に緻密化が進むとわかった。炭化ホウ素に高周波磁場を印加することにより、試料内に渦電流が発生し、温度勾配ができ、原子拡散が加速され、さらにロレンツ力の働きによって、非常に速いスピードで緻密化が進んだと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、おおむね順調に進展している。令和5年度は、高周波誘導加熱装置を用いて炭化ホウ素の高速焼結に取り組み、焼結条件が相対密度に及ぼす影響を明らかにした。得られたバルク体の機械的特性を評価し、良好な試料が得られたとわかった。高周波誘導加熱装置を用いてホウ素と炭素から炭化ホウ素を合成する実験を行い、電磁誘導効果により原子拡散が促進されると示唆された。さらに、焼結機構を明らかにするためには非酸化物セラミックスと電磁場の相互作用に関する基礎知識を蓄積し、理論計算を行い、電磁誘導効果による炭化ホウ素内に発生する誘導電流(渦電流)の評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、炭化ホウ素焼結実験を継続し、試料内に発生する誘導電流の制御による緻密化への影響を明らかにする。また、他の非酸化物セラミックス(炭化ケイ素など)の焼結実験を実施する。さらに、磁界解析ソフトウェアを用いて変動磁場内の非酸化物セラミックスに生ずる渦電流分布等のシミュレーションを実施し、、高周波電磁誘導効果を利用した非酸化物セラミックスの常圧高速焼結のメカニズムについて考察し、高周波電磁誘導効果を利用した非酸化物セラミックスの常圧高速焼結法の有効性を明らかにする。
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