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焼結過程の金属粉末粒子形状・配置パラメータの数値化による3D焼結モデルの再構築

研究課題

研究課題/領域番号 23K04439
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分26050:材料加工および組織制御関連
研究機関九州大学

研究代表者

尾崎 由紀子  九州大学, 工学研究院, 教授 (20637946)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード固相焼結 / 焼結速度式 / in-situ X線CT / 位相幾何学 / 焼結ネック径 / 金属焼結 / 三次元焼結モデル / X線CT
研究開始時の研究の概要

粒子の表面エネルギーを駆動力とする粉末焼結技術は、他の素形材プロセスに比べ、エネルギー消費が低く、SDGsが必須の材料開発においてその重要度が増している。本課題では、X線CT法によって粉体焼結の基本系である固相焼結過程を 観察し、温度および時間に応じて変化する3D粒子形態を可視化する。さらに、画像解析および位相幾何学の一種であるパーシステントホモロジー(PH)の適用によって、全ての接触粒子対について、粒子間接触部(ネック部)サイズ等を数値化し、これらを変数とした新たな3D焼結速度モデルを構築する。本成果を持って、真の焼結現象の理解と新規焼結材料のマテリアルインフォマテックスの進展に寄与する。

研究実績の概要

焼結による固化プロセスは粉末粒子の表面エネルギーを駆動力とするため、加工時のエネルギー消費は他の素形材プロセスよりも低く、積層造形の一種であるバインダー・ジェット積層材(粉末床への樹脂ジェトにより接着された粉末積層材)の焼結、外部場制御焼結等、エネルギー効率を考慮した新材料の創製においてその重要度が増している。
材料の融点以下の温度で焼結が行われる固相焼結機構については、すでに、圧粉体粒子の形態変化とその外形寸法の変化を結ぶ速度式に関する研究は数多くなされ、物質移動が盛んな焼結初期では、基本的な固相内の拡散経路(格子拡散、粒界拡散、および表面拡散)に加え、粘性流動、蒸発-凝集(気相拡散)を考慮した等温焼結速度式は、温度Tと等温焼結時間tの関数として次式に整理されている。
(X/D)n=B(T) t /Dm …(1)
ここで、Xは粒子接合部(ネック部)の直径、Dは粒子直径である。指数n、mおよびF(T)はそれぞれ拡散経路に応じて決定される定数および温度と物質移動に関わる物性値に依存した補正項とされ、これらの数値によって焼結の駆動因子が推定されている。しかしながら、形状因子XおよびDは、着目する焼結温度から急冷された2次元組織のミクロな限定視野から決定されたものであり、①3次元情報、②加熱による熱膨張の影響が排除され、真の焼結挙動を決定する速度式とは言い難い。
本研究では、X線コンピュータ・トモグラフィー(CT)法によって粉体焼結の基本系である固相焼結過程を in-situ 観察し、加熱温度および時間に応じて変化する個々の粒子形態スナップショットとして可視化し、3D画像解析を行うことによって、全ての接触粒子対について、配位数、粒子間接触部(ネック)面積、および接触粒子体積を温度と時間の関数として数値化することによって、これらを変数とした新たな3D焼結モデルの構築を目的とする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定の実施内容は以下の4点である。すなわち、①金属圧粉体中の粒子接合状態の高輝度X線in-situ CT観測手法の確立;②3D画像解析を用いた圧粉体の巨視的形状因子(高さ、幅、厚さなど)、および圧粉体内部の粒子群の微視的形状因子上記X,Dを数値化する手法の確立;③得られた微視的形状因子を用いた既存(1)式の検証;④温度、時間および微視的形状因子を変数とした、巨視的な形状因子の予測式の提案である。

本年度は、①および②について検討し、以下の成果を得た。
まず、In situ X線CT観測装置について検討し、JASRI所有のビームライン設置用赤外集光型加熱炉を用い、Cuガスアトマイズ粉末を対象に加熱下でのその場観察を実施した。高精度の金型を製作により直径2 mm × 高さ2 mm 程度の小型円筒形状に成形し、施設内最大の110 keVの光子エネルギーの条件で十分な透過率を得ることを確認した。まずは、報告例のある800℃に保持した状態で、CT像を20分間連続撮像できた。その結果、粒子接合直径が40μm程度であり、焼結条件として画素サイズ(Min. 1 μm )を超える接合径の変化を得る条件が必要であり、800℃、20分程度の変化の追跡は困難であることも判明した。観測時間の延長、または保持温度の高温化が必要であることが課題である。
次に、得られたCT画像を3D画像解析ソフト(Avizo 3D Pro およびimage J)を用いて数値化し、巨視的パラメータ(円筒試料の平均外径および平均高さ)を求めた。微視的パラメータ算出の手法選定のため、2D断面の限定視野画像について、粒子径および接合長を実測する従来法、および位相幾何学(パーシステントホモロジー等)による分割領域径および交差領域断面径の算定等を適用し、比較検討を行なっている。接合粒子の分割、被分割粒子径の定義が目下の課題である。

今後の研究の推進方策

上記計画において、目下の課題の解決が2024年度の課題である。①および②の課題解決が次年度の主な実施内容となる。すなわち、800℃以上、融点直下までの高温領域でのCu圧粉体のCT像の取得、および②CT像からの微視的パラメータの最適決定手法の確立である。上記の課題が解決され、パラメータが決定された後、直ちに③および④の解析に進む。これらについて検討を行い、2024年度中に学会発表および論文投稿を行う予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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