研究課題/領域番号 |
23K04446
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
上田 光敏 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (90376939)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 高温その場観察 / 耐熱金属材料 / 高温酸化挙動 / 水素透過 / 水蒸気酸化 / 水素の影響 |
研究開始時の研究の概要 |
現在,カーボンニュートラルの実現を目指して,ガスタービンやボイラなどの高温エネルギー変換機器における脱炭素化が進められている.将来,燃料が従来の化石燃料からアンモニアや水素に置き換わることで,高温エネルギー変換機器の脱炭素化が実現する.その一方で,排ガスの主成分となる水蒸気によって,機器を構成する耐熱金属材料の高温水蒸気酸化が顕著になることが予想される.本研究では,酸化時に材料もしくは環境中に存在する水素に着目し,水素が透過する環境下における耐熱金属材料の酸化挙動を高温その場観察することで,酸化挙動に及ぼす水素の影響を実験的に明らかにするとともに,水蒸気酸化における劣化の支配因子を明確にする.
|
研究実績の概要 |
本研究では,水素が透過する環境下における耐熱金属材料の酸化挙動を高温その場観察し,酸化挙動に及ぼす水素の影響を実験的に明らかにするとともに,水蒸気酸化における劣化の支配因子を明確にすることを目的としている.今年度は,顕微鏡に実装可能な試験片を用いて,水素が透過する環境下における耐熱金属材料の酸化実験を再現するため実験的手法の確立を目指した.供試材を高Crフェライト鋼のモデル合金であるFe-9mass%Cr合金(Fe-9Cr合金)とし,あらかじめ水素を吸蔵させた水素吸蔵金属を試験片の内部に入れて封止し,内部に水素吸蔵金属を組み込んだ酸化試験片を作製した.この酸化試験片を,内部に水素吸蔵金属を組み込んでいない通常の酸化試験片と共に,923 K(650℃)にて最長1.8 ks(30分)大気酸化させ,合金の高温酸化挙動に及ぼす透過水素の影響を実験的に確認した.その結果,内部に水素吸蔵金属を組み込んだ酸化試験片において,加速酸化が確認された.内部に水素吸蔵金属を組み込んでいない酸化試験片の表面には,保護性酸化皮膜が生成していたのに対し,内部に水素吸蔵合金を組み込んだ酸化試験片の表面には,鉄系酸化物を含む酸化皮膜が生成しており,合金の酸化挙動が酸化試験片の内部から透過した水素の影響を受けていた.以上の実験的検討を含め,今年度に確立した実験的手法を用いることで,水素が透過する環境下における耐熱合金の酸化実験を,顕微鏡に実装可能な試験片を用いて実施できるようになった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
顕微鏡に実装可能で,内部に水素吸蔵金属を組み込んだ酸化試験片を用いて,合金の酸化挙動に及ぼす透過水素の影響を実験的に観察する手法を確立することができたため.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度に確立した実験的手法を用いて,水素が透過する環境下におけるFe-9Cr合金の高温酸化実験を行い,酸化皮膜の生成過程をその場観察する.また,内部に水素吸蔵金属を組み込んでいない酸化試験片を用いた高温水蒸気酸化実験も並行して行う.各条件において得られた高温その場観察の動画等を詳細に解析し,合金の酸化挙動に及ぼす透過水素の影響を実験的に明らかにする.
|