研究課題/領域番号 |
23K04454
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
北嶋 具教 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, 主幹研究員 (00421397)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 粉末床溶融結合法 / フラットトップレーザ / ニッケル / 単結晶 / 結晶粒選択 |
研究開始時の研究の概要 |
フラットトップ型レーザを用いたNi基超合金の粉末床溶融結合法において、造形中の結晶粒選択を制御し、多結晶から単結晶、またその逆の多結晶から単結晶の組織傾斜を付与して、造形体の適材適所の組織制御を行うことを狙いとする。そのためにも、本研究では造形パラメータ及びスキャンストラテジーが、①造形方向、②造形方向に垂直な面の面内方向の結晶粒成長挙動に及ぼす影響を明らかにし、結晶粒選択のメカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は、フラットトップ型レーザを用いたNi基超合金の粉末床溶融結合法でプロセスパラメータとスキャンストラテジーが集合組織形成に及ぼす影響を調査し、集合組織形成や結晶粒選択のメカニズム解明を目指すものである。本年度は下記の成果が得られた。 (1) 純Niの造形で、平坦な溶融池を形成するプロセスパラメータを用い、レーザの双方向走査とハッチ方向の90°回転のスキャンストラテジーを採用した場合、単結晶構造が得られることは過去に報告していた。プロセスパラメータを固定し、次の3つのレーザスキャンストラテジーで円柱構造体を造形した。(i)一方向走査でレイヤー毎のハッチ方向回転角0°、(ii) 双方向走査でレイヤー毎のハッチ方向回転角180°、(iii)双方向走査でレイヤー毎のハッチ方向回転角90°。その結果、レーザの双方向走査は、平坦な溶融池底面で<001>の凝固セルの成長を造形方向に促進し、造形方向に垂直な面の<001>集合組織形成に寄与する。レイヤー毎のハッチ方向回転角90°は、ティアドロップ状の溶融池後方の固液界面で、造形方向に垂直でレーザ走査方向と45°の角度に<001>の凝固セル成長を促進し、レーザ走査方向とハッチ方向のそれぞれに垂直な面で<110>集合組織を形成することが明らかになった。 (2) Ni-Al合金粉末を製造した。Ni-Al合金の造形では純Niで単結晶構造が得られたプロセスパラメータを使用し、レーザの双方向走査とハッチ方向90°回転のスキャンストラテジーを採用した。Ni-Al合金の造形体は、純Niと異なり、造形方向に<110>と<001>の混合集合組織を形成した。同じプロセスパラメータを用いた場合、Ni-Al合金の溶融池形状は純Niに比べて平坦性が低い。今後、プロセスパラメータの影響について詳しく調査する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フラットトップ型レーザを用いた造形で、レーザの走査方向とハッチ方向の回転角が集合組織の形成に及ぼす影響を明らかにした。また、レーザの双方向走査とハッチ方向の90°回転の組み合わせが単結晶構造のエピタキシャル成長に必須である点を示した。これらは結晶粒構造を制御する上で重要であり、大きな成果である。また、Ni-Al合金の造形では、プロセスパラメータが集合組織形成に及ぼす影響(例えば、<001>強度)が純Niと大きく異なることを示した。これは純NiとNi-Al合金では同じプロセスパラメータの下で溶融池サイズや溶融池のアスペクト比が異なることが理由の一つであり、次年度以降、さらに詳細に調査する。
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今後の研究の推進方策 |
フラットトップ型レーザを用いた粉末床溶融結合法においてレーザの双方向走査とハッチ方向の90°回転の組み合わせが単結晶構造の成長につながることを示した。単結晶構造から多結晶構造への遷移制御を実現するため、スキャンストラテジーの切替が単結晶構造や凝固セルの成長に及ぼす影響を調査する。具体的にはプロセスパラメータを固定し、ハッチ方向の回転角90°で単結晶構造が成長している途中で、ハッチ方向の回転角を0°、45°、67°、180°に切り替える。スキャンストラテジーの切替により固液界面の温度勾配が変化し、固液界面が不安定化し、デンドライトセルや等軸晶を生じ、結晶成長方向が造形方向からずれる可能性がある。また、Ni-Al合金においてプロセスパラメータと溶融池形態の関係をシングルトラック解析で調査し、その結果と純Niのケースの違いについて議論する。さらに、Ni-Al合金の造形において溶融池の凝固セルの成長挙動を解析し、プロセスパラメータが造形方向に垂直な面の<110>と<001>の混合集合組織の形成に及ぼす影響を調査する。
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