研究課題/領域番号 |
23K04456
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
中島 智彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (50435749)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | レーザープロセス / 酸化物結晶化 / 光結晶化 / 光プロセス / リマニュファクチャリング / オンデマンド製造 / 低温成膜 / 酸化物薄膜 / フレキシブルデバイス |
研究開始時の研究の概要 |
形状自由度の高い樹脂材料を用いた多様なデバイスデザインに対し、高いオンデマンド性を有するプリンテッドプロセスは大きな利点がある。主要部品を構成するセラミック材料に対し、光結晶成長法を適用して室温結晶化を行うと同時にプロセス速度の大幅な向上に取り組み、原料塗布から結晶化までの時間を従来の20倍以上の速度とする超高速プロセスへ進化させ、プリンテッドプロセスの真の完成を目指す。本研究の進展がフレキシブル・3Dエレクトロニクスデバイスなどの新規デバイス構築のみならず、デバイス中の透明電極配線のリマニュファクチャリングなど新しいサーキュラーエコノミー製造へも展開し、多面的な社会課題解決に繋げる。
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研究実績の概要 |
2023年度は酸化物光結晶成長の前駆体形成及び結晶成長時の選択的エネルギー投入法を検討し、セラミックス透明導電膜(ITO)の結晶成長の超高速化を目指した。セラミックス結晶成長法はPCSD法を用い、全プロセス時間の大幅な短縮を行うため、前駆体分散液の塗布以降のプロセスを全て光プロセスで行う検討を進めた。前駆体膜の緻密化をはかるため10-20nmのナノ粒子と粒子間結合のために同金属組成の有機金属化合物溶液を混合した前駆体膜用分散液を調整した。本分散液をジェットディスペンサーを用いて局所塗布を行い、塗布分散液の乾燥と初期反応を365nmの連続光を用い、有機金属成分の分解とセラミックス膜の結晶化に266nmのNd:YAGレーザーを利用。Nd:YAGレーザーの強度を逐次的に連続変化させることによって反応が進行する前駆体膜の状態に追随する形で照射光波長の光子エネルギーと照射強度を増大させ、結晶成長を高速化させることに成功した。全工程を光プロセスかつ自動化したプロトタイプ装置を構築し微小塗布から88秒後に透明導電膜の電気抵抗率を1.0 x 10-2 Ωcm未満に低減し、160秒後の抵抗値は6.9 x 10-3 Ωcmまで低減することに成功した。プロセスのシームレス・自動化に加え、一連の工程の中で変化する電気抵抗値をリアルタイムでモニタリングすることにより光照射下の各プロセス要素で膜形成がどのように進行しているか詳細な検討を行った。また、透明導電膜の配線を模した幅500μmの細線に100μmの欠損部を配したモデル欠損配線に対して達成した全光超高速プロセスを適用することによって透明導電膜配線を製造現場でオンサイトリペアを行うインプロセスリマニュファクチャリングのモデル実証に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長波長連続光の利用及びパルス光の逐次強度変化によるプロセスの全光化と超高速化に成功するなど概ね順調に研究の進捗が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
多波長光源また光強度の逐次変化について膜の物理・化学特性がどのように変化していくか詳細に調べるとともに最適化した条件を基にした光照射条件を用いて、酸化物材料の1分以内の秒速製膜を実現する。その超高速製膜を利用して酸化物センサ材料を樹脂3次元構造体上へ直接製膜を行い3Dエレクトロニクスデバイスとして機能実証を行う。加えて、配線欠損を模した酸化物透明電極パターンの欠損箇所へ本手法を適用し、局所修復によるリマニュファクチャリングプロセスの実証を行うことにより、本手法の新たな実用的利用法を提示へ向けた検討を進める。
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