研究課題/領域番号 |
23K04469
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
徳山 英昭 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10363029)
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研究分担者 |
加納 太一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40372560)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高分子ゲル / 有機分子触媒 / 不斉合成 / 反応工学 / 吸着 / 吸収 / 高分子-溶媒相互作用パラメータ / アミノ酸 |
研究開始時の研究の概要 |
有機分子触媒は、医薬品等を生成する不斉合成で最も大事な炭素-炭素(あるいは酸素)結合を形成する次世代の触媒である。その重要性はList氏の2021年ノーベル化学賞に表れており、そのプロセスに関する学術は喫緊の重要課題である。本研究では、反応の活性や選択性、ハンドリング、成分分離などあらゆる面で利点のみを供する不均一系触媒として有機分子触媒固定化感温性ゲルを創製し、温度スイング吸着機能により反応促進と省エネルギー的成分分離を実現する高度不斉合成プロセスを開発する。感温性ゲルの有機化合物の吸着特性について、実験的検討に加えて機械学習法による予測も行い、ゲル材料やプロセスを迅速に設計する。
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研究実績の概要 |
有機分子触媒は、医薬品等を生成する不斉合成で最も大事な炭素-炭素(あるいは酸素)結合を形成する次世代の触媒である。本研究では、反応の活性や選択性、ハンドリング、成分分離などあらゆる面で利点のみを供する不均一系触媒として有機分子触媒固定化感温性ゲルを創製し、温度スイング吸着機能により反応促進と省エネルギー的成分分離を実現する高度不斉合成プロセスを開発する。感温性ゲルの有機化合物の吸着特性について、実験的検討に加えて機械学習法による予測も行い、ゲル材料やプロセスを迅速に設計する。研究期間の1年目は、以下を検討した。 ①アミノ酸固定化ゲルの創製と不斉アルドール反応:L-threonineの誘導体モノマーを合成した。これと主モノマー(4種類を検討)等の試薬を用いてフリーラジカル重合によりアミノ酸固定化ゲルを開発した。このゲルをアルデヒドと種々のケトンとの不斉アルドール反応に供して触媒反応特性を明らかにした。 ②ゲルの溶媒の吸収特性の実測と機械学習による予測:①の主モノマーとそれ以外のモノマーも用いて10種類のゲルを合成した。それらの乾燥ゲルを33種類の純溶媒に浸す膨潤試験より高分子-溶媒相互作用パラメータ(カイパラメータ)を求め、データベースを構築した。そして、分子記述子とランダムフォレストを用いて、カイパラメータを予測する機械学習モデルを構築した。この知見より①などのゲル触媒を迅速に設計できる。 ③感温性ゲルの有機化合物の吸着特性の実測と機械学習による予測:感温性ゲル(N-イソプロピルアクリルアミドなど)への有機化合物(30種類程度)の回分吸着実験を行い、転移温度以上(試験温度40℃)で良好に吸着し、転移温度以上(試験温度20℃)で脱着することを確認した。40℃での分配係数(平衡吸着量を平衡濃度で除したもの)を予測する機械学習モデルの構築に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①について、開発したアミノ酸固定化ゲルは良好に不斉アルドール反応を触媒した。研究計画では、反応の溶媒に水を用いて、感温性ゲルの吸着機能を上手く活用して反応を促進させる狙いがあったが、実際には一方の基質のケトンを大過剰とする無溶媒条件の方が反応がよく進行し、十分に高い反応選択性が得られた。そして、種々の主モノマーを用いたゲルの特性評価結果より、ゲルのケトンの吸収特性が触媒活性に影響するという重要な知見を得た。研究成果はまとまっており、今後、学会発表と学術論文発表を行う。 ②について、研究実績で述べた成果はまとまっており、学会発表した。今後、学術論文発表する。 ③について、研究実績で述べた実験的検討は終えており、その部分について学会発表した。今後、機械学習モデルを構築する。
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今後の研究の推進方策 |
上記の③について、感温性ゲルの有機化合物の吸着特性を予測する機械学習モデルを構築する。本研究の吸着データが少ないため、まず文献の吸着データ(吸着材は活性炭など)を用いて機械学習モデルを構築し、そのモデルを本研究の感温性ゲルに応用する。 当初の計画通りだが、新たにアミン有機触媒固定化ゲルの創製と不斉ベンゾイロキシ化反応を行う。研究分担者が開発したアミン有機触媒(トリフェニルメチル基をもった二級アミン触媒)を側鎖に持つゲルを開発する。高反応性の過酸化ベンゾイルを求電子剤とする不斉ベンゾイロキシ化反応を検討する。 当初の計画にはなかったが、新たにポリエチレンイミン含有semi-IPNゲル触媒の創製とマイケル付加反応を行う。semi-IPNゲルは、線状高分子を含む架橋高分子であり容易に作製できる。ポリエチレンイミンがアミン触媒機能を持ち、母体の架橋高分子ゲルが基質の吸着材(吸収材)として働くことで反応を促進させる狙いである。まず、単純な系でマイケル付加を行い本触媒に関する知見を得る。そして、不斉マイケル付加への応用に発展させる。
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