研究課題/領域番号 |
23K04491
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
野田 賢 福岡大学, 工学部, 教授 (60293891)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | プラントアラームシステム / 論理アラーム処理 / 有害アラーム / アラームシステム |
研究開始時の研究の概要 |
連鎖アラームなどの有害アラームを原因とするプラント事故が、国内外で多発している。本研究では、有害アラームを原因とするプラント事故の防止を目的に、プラント運転データから有害アラームをリアルタイムで検出し、オペレータの異常診断に不要なアラームの発報をピンポイントで抑制する新しい論理アラーム処理法を開発する。開発した論理アラーム処理法の有効性は、現役オペレータによるプラント異常診断実験により評価する。本研究の成果は、より安全なプラントオペレーション実現の有力な手段の一つとなることが期待される。
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研究実績の概要 |
近年のプラント監視制御システムの急速な高性能化は、多数の監視変数に低コストでアラームを設定できる環境を運転現場にもたらした。しかし、個々のアラームの必要性や管理範囲の妥当性が十分精査されないままアラームシステムが設計されている運転現場も多く、単一のプラント異常から複数のアラームが短時間に連鎖的に発生する連鎖アラームやアラームが発報と復帰を繰り返す繰返しアラームなどの有害アラームが運転現場で増加している。有害アラームは、オペレータの重要アラームの見落としや異常診断ミスなどを招き、ヒューマンエラーによるプラント事故の主要な原因となっている。 有害アラームによるプラント事故を防止する手段に、論理アラーム処理がある。論理アラーム処理とは、アラーム洪水発生時に、同じ種類のアラームを一つに集約する、発報したアラームの中で重要度の低いものを一時的にオペレータから隠すなど、有害アラームによるヒューマンエラーを防止するしくみである。論理アラーム処理は、アラーム発報数を簡単なしくみで抑制できることから、特に国内のプラント運転の現場で広く利用されている。しかし、論理アラーム処理の方法やタイミングによっては、オペレータの正しい異常診断を支援するというアラームシステム本来の機能がかえって低下する恐れがある。 従来の論理アラーム処理法は、アラーム発報数の抑制のみに重点を置くため、かえって本来必要なアラームまで削減する恐れがある。本研究では、オペレータの異常診断に不要なアラームの発報のみをピンポイントで抑制する新しい論理アラーム処理技術の開発に取り組む。本年度は、研究代表者が開発したプラント運転データからの有害アラームの抽出法を論理アラーム処理に組み込むために、有害アラームのリアルタイム抽出のための新しいアルゴリズムを開発した。本アルゴリズムは、大規模データを高速に処理できることが特徴である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、プラント運転データから有害アラームをリアルタイムで検出し、オペレータの異常診断に不要なアラームの発報のみをピンポイントで抑制する新しい論理アラーム処理法の開発を目的とする。本年度は、プラント運転データからの有害アラームの抽出法を論理アラーム処理に組み込むための有害アラームのリアルタイム抽出のための新しいアルゴリズムを開発した。研究計画にそっておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、有害アラームの発報を抑制する論理アラーム処理法の開発を進める。プラント運転データからリアルタイムで抽出した有害アラームの発報のみをピンポイントで抑制する新しい論理アラーム処理法を開発する。論理アラーム処理がヒューマンエラー抑制に有効であるか、正しい異常診断が論理アラーム処理によってかえって妨げられるケースがないか、研究代表者が基盤研究(C)(平成29年度~31年度)で構築した異常診断シミュレーションを用いて検証する。効果がない場合は、なぜオペレータの異常診断ミスを防げなかったのか詳しく解析し、論理アラーム処理法の改良にフィードバックする。
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