研究課題/領域番号 |
23K04494
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藪下 瑞帆 東北大学, 工学研究科, 助教 (00835142)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ゼオライト / ペアサイト / 転写法 / 構造制御 / 酸・塩基両機能 / バイオマス / 不均一系触媒 / ナノ空間 / 協奏作用 / 酸塩基触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
人工的に合成したナノスケールの微小な空間内に2つの活性点を近接させて構築した構造は、天然由来の触媒(酵素)の活性点と類似しており、人工的な酵素模倣型触媒の創出に繋がることが期待される。本研究は、この近接活性点の触媒性能を明らかにするために、種々の構造・性質評価と触媒活性評価とを組み合わせ、その学理の開拓ならびに酵素模倣型触媒材料群の創出を目指すものである。
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研究実績の概要 |
CHA型ゼオライト中へのAlペアサイト構築・量制御が可能な独自技術である「転写法(M. Yabushita, et al., Chem. Commun. 2021, 57, 13301-13304)」を拡張するとともにその汎用性を実証することを目的として、他の骨格構造(MFI型ゼオライト)中へのAlペアサイト構築と、CHA型ゼオライト中への他の異種金属(Ga)ペアサイト構築に取り組んだ。まず、錯体重合法によって、Al(もしくはGa)を多く含有する非晶質シリカ-アルミナ(もしくは非晶質シリカ-ガリア)を調製した。これを原料に用いて、適切な構造規定剤存在下で水熱処理を行い、目的とする骨格構造を持つゼオライトを得た。種々のキャラクタリゼーション(特に固体29Si MAS NMR分光法あるいはCo2+をプローブとしたイオン交換容量測定)から、合成した各ゼオライトにはAlペアサイト(あるいはGaペアサイト)が確かに構築されていること、また、ペアサイト量は、原料に用いる非晶質複合酸化物を母ゲルに分散させてからの時間に対して火山型の依存性を示すことが分かった。これらの結果は、転写法が複数種類の骨格構造あるいは異種金属にそのまま適用可能であり、世界初の汎用的ペアサイト構築法であることを意味するものである。 次に、Gaペアサイト含有CHA型ゼオライトについて、アンモニアをプローブに用いる昇温脱離法によって酸点量と強さの評価を行った。Gaペアサイト含有量の多いゼオライトほど、元々骨格内に存在していたGa種が脱離し易く、生成した骨格外Ga種は強いLewis酸点として振る舞うことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
転写法によってAlペアサイトを含む骨格構造複数種類合成できることを実証しただけでなく、当初予定していなかったGaペアサイトの意図的な構築に成功し、転写法が真に汎用的ペアサイト構築法であることを明らかにすることができた。前者については、様々な基質分子の変換反応を今後行っていくにあたって必要な条件であり、当初計画通りの進捗と言える。一方、後者については、Gaペアサイト構築の成功により、Alペアサイトよりも弱い酸性(共役塩基としてはAlペアサイトよりも強い塩基性)を示す材料を得ることが可能となった。これは、ペアサイトに関する酸・塩基の学理をより広く開拓できるようになったことを意味する。以上から、本研究全体の進捗状況として「当初の計画以上に進展している」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
かねてより合成に成功しているAlペアサイト含有CHA型ゼオライトに加え、2023年度に合成に成功したAlペアサイト含有MFI型ゼオライトおよびGaペアサイト含有CHA型ゼオライトを用いることで、骨格構造および酸・塩基性の制御が可能となった。今後、バイオマス由来化合物の変換反応をターゲット反応としてこれらの材料を試験して、酸・塩基協奏作用の発現と学理開拓を目指す。
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