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バイオマスを高選択的にギ酸へと変換するシステム構築に向けた新規光触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K04497
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
研究機関高知大学

研究代表者

今村 和也  高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 助教 (30750624)

研究分担者 恩田 歩武  高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (80335918)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワードギ酸 / バイオマス / 糖類 / 光触媒 / グルコース / 酸化セリウム
研究開始時の研究の概要

持続可能な社会を実現する上で,動植物由来の化合物(バイオマス)を活用したギ酸を製造する技術の開発が必要とされている。ギ酸は用途の多い基幹物質であり,石炭や天然ガスなどの化石資源から合成される。これに対し,近年,バイオマス資源としてのグルコー スの利用が注目されており,グルコースをギ酸へ変換できる触媒が精力的に研究されている。 本研究では,酸化セリウムがギ酸を生成するメカニズムを解明し,新たな触媒設計指針を構築 する。さらに,設計指針に基づいて新規光触媒を開発し,さまざまなバイオマスを活用しギ 酸を選択的に生成するための高効率な光触媒システムを開発する。

研究実績の概要

持続可能社会の実現のために,動植物由来の物質である「バイオマス」の利用は不可欠である。本研究では,植物性バイオマスの代表であるグルコースに着目し,これを光触媒的にギ酸へと変換することを目的としている。ギ酸はさまざまな分野で利用される基幹物質である。これまでに本研究室では,酸化セリウムを光触媒として使用すると,グルコースをギ酸へと高い選択性で変換することを見出している。2023年度は,市販の酸化セリウム,日本触媒学会参照酸化セリウム,沈殿法によって調製した酸化セリウムを使用し,酸化セリウムの酸素欠陥と反応速度,およびギ酸選択率との相関を検討した。酸化セリウムは酸素欠陥の量に応じて光吸収が長波長化する。そこで,UV-visスペクトルから見積もった吸収端が長波長であるほど,酸素欠陥が多いと仮定した。酸化セリウムの吸収端が長波長であるほど,光触媒活性が高いことを見出した。しかしながら,酸素欠陥そのものが反応メカニズムに関与しているのか,光吸収が増大したことによって反応速度が増加したのかは検討中である。酸素欠陥を増加させる目的で酸化セリウムにジルコニウムを添加したが,添加量が増加するほど活性は一方的に減少した。さらに,光吸収,塩基性,酸素欠陥の量に着目し,酸化セリウムにランタン,プラセオジムを添加した複合酸化物を調製し,光触媒として使用した。少量のランタンの添加が反応速度を増加させることを見出した。プラセオジムを酸化セリウムに添加すると,吸収端は長波長したものの活性は減少した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

計画では,2023年度の検討項目は,1)酸化セリウムの酸素欠陥の量をUV-visスペクトルから見積もり,酸素欠陥の量が活性に与える影響を検討する,2)酸化セリウムにジルコニウムを添加することで酸素欠陥を増加させ,光触媒活性への影響を調査する,3)ランタノイドを中心とする異種元素を酸化ジルコニウムに添加し,複合酸化物を調製する。これらの光触媒活性を検討する,の3つであった。3つの計画は実施済であり,これに加えてXPSによる酸素欠陥の定量的な議論,半反応を利用した反応メカニズムの検討を実施した。さらに,グルコースを利用する光触媒反応として,グルコースを水素源として利用するカルボニルの水素化反応を検討し,Pd-TiO2が有効であることを示した。

今後の研究の推進方策

申請書の計画に沿って,1)作用スペクトルの測定,2)論文執筆,3)Zrの添加効果,4)セリウム系複合酸化物の利用を進める。3)4)についてはすでに一部始めているが,検討が不十分であるため,引き続き実施する。

具体的には3)について,Zrの添加量を%オーダーで変えながら検討する。また,Zrを添加した後,水素還元処理をすることで酸素欠陥の量を増やすなどの検討を行う。4)については,添加する異種元素としてランタンとプラセオジムしか検討していないので,ランタノイドを全て検討する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (17件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Photocatalytic hydrogenation of acetophenone over Pd?TiO<sub>2</sub> using saccharides as hydrogen sources2024

    • 著者名/発表者名
      Oto Takahiro、Ikeuchi Kazuma、Tanaka Kosuke、Onda Ayumu、Imamura Kazuya
    • 雑誌名

      Catalysis Science &amp; Technology

      巻: in press 号: 8 ページ: 2139-2145

    • DOI

      10.1039/d4cy00120f

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Photocatalytic hydrogenation of acetophenone over Pd-TiO2 using various saccharides2023

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Oto, Kazuma Ikeuchi, Yuki Sakamoto, Yushiro Aono, Ayumu Onda, Kazuya Imamura*
    • 学会等名
      The 19th Korea-Japan Symposium on Catalysis
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 有機色素修飾酸化ジルコニウム光触媒による可視光でのアルコール酸化反応2023

    • 著者名/発表者名
      今井咲友・恩田歩武・今村和也
    • 学会等名
      第14回触媒科学研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 糖類を水素源として使用したパラジウム担持酸化チタン(IV)によるカルボニル化合物の光触媒的水素化反応2023

    • 著者名/発表者名
      大音貴裕・池内一真・坂本友樹・野悠士郎・恩田歩武・今村和也
    • 学会等名
      第14回触媒科学研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 2-プロパノールを用いたニトロベンゼンからN-フェニルヒドロキシルアミンへの光還元反応2023

    • 著者名/発表者名
      野中結羽・恩田歩武・今村和也
    • 学会等名
      第14回触媒科学研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 酸化セリウム光触媒を使ったニトロソベンゼンのカップリング反応によるアゾキシベンゼンの生成2023

    • 著者名/発表者名
      田中滉将・恩田歩武・今村和也
    • 学会等名
      第14回触媒科学研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ジルコニウム酸化物と有機色素を使った色素増感型光触媒の開発2023

    • 著者名/発表者名
      今井咲友・恩田歩武・小廣和哉・今村和也
    • 学会等名
      高知化学シンポジウム2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 酸化セリウム(IV)光触媒によるアルコール類を還元剤としたニトロベンゼンからアゾキシベンゼンへの還元的カップリング反応2023

    • 著者名/発表者名
      田中滉将・恩田歩武・今村和也
    • 学会等名
      高知化学シンポジウム2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Photocatalytic oxidation of aromatic alcohols to aromatic ketones over non-toxic dye-sensitized photocatalysts2023

    • 著者名/発表者名
      S. Imai, S. Yuka, A. Onda, K. Imamura
    • 学会等名
      EuropaCat2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Hydrogenation of nitrobenzene to aniline using various saccharides over titanium(IV) oxide photocatalyst2023

    • 著者名/発表者名
      T. Oto, K. Ikeuch, Y. Sakamoto, Y. Aono, A. Onda, K. Imamura
    • 学会等名
      EuropaCat2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Photocatalytic chemoselective cleavage of C-O bonds over palladium loaded titanium(IV) oxide2023

    • 著者名/発表者名
      K. Imamura, H. Kato, Y. Wada, K. Makabe, A. Onda, A. Tanaka, H. Kominami, K. Sato, K. Nagaoka
    • 学会等名
      EuropaCat2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 有機色素で修飾 したワイドバンドギャップ酸化物光 触媒による可視光での酸化的物変換2023

    • 著者名/発表者名
      今井咲友・恩田歩武・今村和也
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 酸化セリウムによる グルコースからギ酸への光触媒的 変換反応における反応メカニズムの考察2023

    • 著者名/発表者名
      大音貴裕・恩田 歩武・今村和也
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ゼオライト触媒を用 いたセルロースからフルフラール 類への直接合成2023

    • 著者名/発表者名
      恩田 歩武・澁谷信司・萩原礼奈・篠田 瞬・恩田さゆり・今村和也
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Pt担持触媒を用いたバイオマス多糖からC3及びC4 炭化水素への転換に対する多糖 の化学構造の影響2023

    • 著者名/発表者名
      堀江成樹・恩田さゆり・岩佐侑那・今村和也・関 根泰・小河脩平・恩田歩武
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 乳酸からのアクリル酸合成に対するゼオライト触媒の構造及び酸塩基性の影響2023

    • 著者名/発表者名
      竹下菜々美・渡邊郁也・今村和也・恩田歩武
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [産業財産権] ギ酸の製造方法2023

    • 発明者名
      今村和也・大音貴裕・恩田歩武
    • 権利者名
      今村和也・大音貴裕・恩田歩武
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2023-143020
    • 出願年月日
      2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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