研究課題/領域番号 |
23K04502
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
島 亜衣 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (50757309)
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研究分担者 |
小田 悠加 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (30784508)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 組織工学 / 培養肉 / バイオアクチュエータ / コラーゲン / 筋分化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、細胞と同程度の厚みを持つECMゲル薄膜を安定して作製可能、かつ、膜の両面での細胞培養と非侵襲的な薄膜の取り出しが可能なデバイスを、3Dプリンタを用いて作製する。培養肉やバイオアクチュエータへの応用を念頭に、このデバイスを用いて両面培養が可能な細胞種やECMゲルを探索するとともに、両面培養薄膜の操作性についても検討し、組織構築への利用可能性を探る。
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研究実績の概要 |
本研究では、細胞と同程度の厚みを持つECMゲル薄膜を安定して作製可能、かつ、薄膜両面での細胞培養と非侵襲的な薄膜のハンドリングが可能なデバイスの開発を計画している。細胞を播種したECMゲル薄膜をビルディングブロックとしたボトムアップ組織工学のアプローチによる、培養肉やバイオアクチュエータへの応用を念頭に、このデバイスを用いた両面培養が可能な細胞種やECMゲルを探索するとともに、両面培養薄膜の操作性についても検討し、組織構築への利用可能性を探る。 2023年度はプロトタイプデバイスを用いたコラーゲン薄膜の作製を行い、薄膜の作製効率や厚みについて評価した。また、骨格筋モデル細胞株であるマウスC2C12細胞および培養肉への応用を想定したウシとニワトリ胚の初代培養筋細胞を薄膜の両面へ播種し、いずれの細胞種でも、両面において培養皿と同様に筋芽細胞が分化して筋管細胞が形成されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直径約2 cmの円状の膜作製部位を有するプラスチックシート製のプロトタイプデバイスを用いて、コラーゲン薄膜を作製し、両面に筋芽細胞を播種した。コラーゲン薄膜の表面に細胞を播種後、続いて裏面に細胞を播種する際に薄膜が破損することが多かったことや、細胞培養後の薄膜の厚みが10 ~50マイクロメートル厚とばらついたことから、今後はデバイスの材質や形状に改良が必要であることがわかった。マウス筋芽細胞株C2C12、ウシ初代筋芽細胞、ニワトリ胚初代筋芽細胞をブタ由来酸性コラーゲンで作製した薄膜の両面に播種したところ、いずれも両面での筋管形成を観察したことから、本方法においてコラーゲン薄膜の両面で培養皿と同等に二次元培養が可能であることを確かめた。なお、コラーゲン薄膜表面と裏面の筋管細胞の配向は一致しないことがわかった。ニワトリ胚初代筋芽細胞を播種した場合には筋管細胞の収縮運動が観察されたことから、本方法による収縮機能を有した骨格筋シートの作製可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
プラスチックシート製のプロトタイプデバイスではコラーゲン薄膜の作製効率が低く、作製したコラーゲン薄膜の厚みも一定でないことから、薄膜作製デバイスの改良を行う必要がある。そこで、3Dプリンタなどを用いて、デバイスの形状や材質の検討を行ない、より成功率高くECMゲル薄膜を作製可能なデバイスを作製する。また、今後、両面培養薄膜を組み合わせてより大きな組織を作製できるかどうかを検討するにあたり、薄膜を破損させずにハンドリングする必要がある点についても留意し、薄膜を重ねる、巻くなどの操作性を検討する。薄膜の材料については、現在のコラーゲン薄膜上でマウス、ウシ、ニワトリ胚の3種類の筋細胞が充分に分化することを確かめていることから、当面はコラーゲンに限定し、引き続き薄膜の厚みや筋管細胞の成熟について評価を行う。
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