研究課題/領域番号 |
23K04503
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀬尾 秀宗 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (00561531)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 抗体遺伝子再編成 / AID / オーキシンデグロン法 / DT40 / ジーンコンバージョン / 条件変異株 / 抗体エンジニアリング / 抗体医薬 |
研究開始時の研究の概要 |
AID(activation induced deaminase)は、抗体遺伝子再編成のトリガーとなる因子であり、DT40細胞でノックアウトすると抗体遺伝子再編成が完全に停止する。本研究では、AIDの条件変異株を利用して抗体遺伝子再編成を自在に制御し、ADLibシステムによる抗体の取得および親和性成熟とクローンの安定化を実現する。また、AID条件変異株の作製には煩雑な作業を要するが、簡便にAIDの条件変異株を作製できるノックインベクターを開発し、既に作製したヒト抗体産生細胞をAID条件変異株化後し、安定的なヒト抗体取得および親和性成熟を行う。
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研究実績の概要 |
これまでの研究で、C末端にデグロンタグを付加したAIDがDT40細胞内でジーンコンバージョンを誘導する活性を有すること、さらにこれらをオーキシン依存性ユビキチンリガーゼであるTIR1発現ベクターを導入したAIDノックアウトDT40細胞内で発現させると、培地へのオーキシン添加により分解されることを明らかにしていた。オーキシン添加によりC末端デグロンタグ付きAIDが分解されることで実際にジーンコンバージョン活性が抑制されるかどうかを確認した。Fluctuation assayによりオーキシン添加および未添加の細胞を比較したところ、オーキシン添加によりジーンコンバージョンがAIDノックアウト株と同レベルに抑制されていることが明らかになった。なお、C末端デグロンタグ付きニワトリAID、マウスAIDいずれも同様の結果が得られている。またオーキシン添加によるジーンコンバージョンの抑制は、実際に抗体遺伝子配列を解析することでも確認された。すなわち、オーキシン未添加培地で培養したケースでは抗体遺伝子配列にジーンコンバージョンにより生じた偽遺伝子由来の配列が確認されたが、オーキシン未添加培地で培養した細胞は抗体遺伝子配列に変化は見られなかった。以上の結果から、オーキシンデグロン系を用いたAIDの条件変異株により、ジーンコンバージョンが自在に制御可能であることが示された。そこで、得られたAID条件変異株を用いて抗体取得を試みるべく、抗体提示細胞ライブラリの作製を行った。最大約6週間の培養によりほぼ全ての細胞がジーンコンバージョンを起こしたものになることを確認し、十分な多様性を持ったライブラリが得られたと推察された。その後、このライブラリを用いてモデル抗原を利用した抗体セレクションを実施し、一部のモデル抗原に対する抗体作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通りに、オーキシンデグロン法によるAIDの条件変異株によりジーンコンバージョンを制御可能であることを示す事が出来た。また、この株を用いてライブラリを作製し、モデル抗原に対する抗体作製に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、オーキシンデグロン法によるAID条件変異株作製に成功し、これを用いたライブラリから抗原特異的抗体の取得に成功している。今後は、残りのモデル抗原に対する抗体作製を行った後、創薬ターゲットに対する抗体作製も実施し、抗体遺伝子可変領域配列解析など、得られた抗体のキャラクタライゼーションを予定である。
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