研究課題/領域番号 |
23K04509
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
秋 庸裕 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 教授 (80284165)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | オーランチオキトリウム / 低温適応 / マーカーリサイクル / 走化性 / カーボンリサイクル / 油脂発酵 |
研究開始時の研究の概要 |
持続的な物質・エネルギー循環社会の実現に向けて、ケミカル原料やバイオ燃料の新たな供給手段を提供すべく、CO2を直接原料として酢酸を生成するホモ酢酸菌と、酢酸から有用油脂を生産する海洋微生物オーランチオキトリウムとの複合培養系からなる「Gas-to-Lipidsバイオプロセス」を構築する。そのため、オミクス解析やゲノム編集技術を駆使した育種で当該微生物の極限性能を引き出し、実生産へ向けた学術的および技術的基盤を整備する。
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研究実績の概要 |
CO2を固定化して嫌気的に有機酸発酵するホモ酢酸菌と有機酸を効率的に油脂に変換する好気性海洋微生物オーランチオキトリウムとの複合培養系からなる「Gas-to-Lipidsバイオプロセス」をさらに至適化するため、オミクス解析やゲノム編集技術を駆使した育種によってオーランチオキトリウムの極限性能を引き出し、社会実装へ向けた学術的および技術的基盤を構築することを目的としている。今年度は、目的生産物の一つである抗酸化性カロテノイドの生産誘導条件をレポーター系を用いて解析を進め、温度変化に応答する新たな遺伝子発現制御領域を絞り込むことに成功した。同領域には、植物で報告された低温応答エレメントが複数局在しており、その関連に興味が持たれた。中鎖脂肪酸の生産方法の確立に向けて、脂肪酸合成酵素からの脂肪酸脱離に作用する酵素の炭素鎖長特異性を網羅的に推察し、候補遺伝子の破壊あるいは導入を試みているところである。複数の育種候補遺伝子に対する多重改変に利用可能な栄養要求性マーカーを新たに獲得し、マーカーリサイクル法に適用しうる自殺基質の効果について解析した結果、2つのマーカーが有用であることを認めた。当該バイオプロセスを構成する微生物の自然界における栄養従属共生関係を推察するため、オーランチオキトリウム遊走子の各種化合物に対する走化性を解析した結果、リグニン構成分子であるバニリンへの走化性を認めた。これは真核微生物では初めての知見であり、自然環境下での炭素循環への同微生物の関与を示唆する非常に興味深い結果であるとともに、木質バイオマスを原料とする新たなバイオリファイナリープロセスの開発にもつながることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カロテノイド生産誘導機構の解析、多重改変技術の確立及び遊走子の走化性解析については、当初予定した課題で一定の成果を挙げており、今後の進捗が大いに期待できるため。一方、中鎖脂肪酸の生産に関しては足踏み状態であり、解析手法の改善が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
低温応答エレメントの解析では、親株の当該遺伝子部位をゲノム編集技術で破壊することにより、応答性が欠失するかを調べる。中鎖脂肪酸に特異的なエステラーゼの候補遺伝子をさらに拡充して、遺伝子破壊や高発現などの解析に供する。多重改変技術では、2つのマーカー候補遺伝子の破壊による自殺基質に対する応答を調べて、選択時の至適条件を決定する。走化性解析については、走化性と資化性との関係について詳細を解析する。
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