研究課題/領域番号 |
23K04518
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
池本 弘之 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (20262496)
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研究分担者 |
下司 雅章 大阪大学, エマージングサイエンスデザインR3センター, 特任准教授(常勤) (70397660)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | カルコゲン / 硫黄 / XAFS / カルコゲン鎖 / Peierls転移 / van der Waals相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
1次元カルコゲン鎖は電子・格子相互作用によるPeierls転移を起こすか?その構造の違いは半導体性・金属性をいかに決定するか?何がvan der Waals(vdW)力の起源であり、その強さは何に依存するか?が、本研究の問いである。これらの問いに、(1)構造測定(低試料ダメージ、高い原子間距離精度、元素選択性を備えたX線吸収微細構造測定)、(2)電子状態測定(光電子分光測定)の構造・物性両面の実験を行い、(3)第一原理計算による理論解釈を加えて挑む。
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研究実績の概要 |
カルコゲン元素は、その原子が二重の共有結合を持つ一次構造を形成し、それが互いに積み重なるという、階層的な構造を構築するユニークな特徴を持っている。これらの元素、例えばS、Se、Teを系統的に調査することで、カルコゲン元素群に関して深く検討できる。 透過X線を検出するフォトダイオードを用いて、10Kから300Kの温度範囲でS-Kエッジの拡張X線吸収微細構造(EXAFS)測定を透過モードで行った。これは、硫黄の結晶安定相であるα-Sの構造パラメータの温度変化に関する最初の報告である。kχ(k)のフーリエ変換において、温度が10Kから300Kに上昇するにつれて、8員環の共有結合に対応する最初のピークが、熱擾乱にもかかわらず、わずかに低くなる異常が見られた。しかし、通常の物質と同様に、300Kでの第2ピークは10Kでのピークの約半分に減少し、このピークにはいくつかの環内・環間相関が含まれている。非線形最小二乗フィッティングによって、共有結合の構造パラメータを求めた。EXAFSの非対称パラメータ(C3)の値がゼロであることは、共有結合のポテンシャルが対称であることを意味し、温度に対する平均二乗相対変位(MSRD)の値が一定であることは、ポテンシャルが非常に高いことを意味する。MSRDの温度変化に対してアインシュタインモデルを当てはめると、アインシュタイン温度は942K、力定数(K)は405N m-1となった。Kの値はカルコゲン元素の中で最も大きい。 物性に関しての検討するために光電子分光測定を行い、共有結合長と内殻準位のエネルギーに相関があることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フォトダイオードを検出器とした真空チャンバーを開発することにより、これまでに報告がなかったS吸収端のXAFS測定を可能にした。すでに標準物質としての結晶Sに関する論文を報告済みである。さらに、カーボンナノチューブ(CNT)に担持されたS鎖(S@CNT)のXAFS測定も行った。解析途中であるが、S@CNTでは共有結合がさらに強くなるだけでなく、結合角も非常に強い結果を得ている。 広島大のHiSORで光電子分光実験も遂行している。すでに、共有結合長の変化に伴って、内殻準位のエネルギーがシフトすることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
S@CNTのXAFS測定を、CNTが単層と二重層の両方の試料について行う。2種類のCNTでは内径が異なるので、直線鎖、平面ジグザグ鎖、3回螺旋鎖など、空間の大きさに依存した形状が現れることを検証する。それぞれの形状における、共有結合や結合角の強さについても検討する。 電子状態については、引き続きHiSORで光電子分光測定を行う。カルコゲン鎖はCNTに内包されているので、価電子帯最上部のカルコゲン鎖単体のスペクトルを抽出することは困難である。カルコゲン鎖を包摂したCNT試料とCNT単体のスペクトルを差し引くことでこれに挑む。統計精度を上げるために長時間のデータ積算が必要だと考えている。 構造と物性の関係を電子状態を含めて検討するために、Quantum EspressoやWIEN2kなどの第一原理計算を行う。
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