研究課題/領域番号 |
23K04521
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小島 崇寛 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (80624410)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | グラフェンナノリボン / 非対称 / 強誘電性 / 低温合成法 / 水素受容性ガス |
研究開始時の研究の概要 |
グラフェンを1次元に切り出した構造を持つグラフェンナノリボン(GNR)は、その幅・エッジ構造の精密制御によって、様々な特性を付与することができることから、次世代半導体として期待されている。さらに非対称構造のGNRは強磁性や強誘電性が理論的に予測されているため、近年、非常に注目が集まっている。GNRの片方のエッジに機能性置換基を付与することによって、非対称構造を創出できるが、従来の表面合成法では、立体規則性重合と置換基が高温加熱中に分解する問題点があるため、合成が非常に困難であった。本研究は、これらの問題を解決して非対称型GNR合成を実現することを目的とする。
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研究実績の概要 |
強誘電性、強磁性等の機能を持つ新ナノ炭素材料を目指し、機能性置換基を左右非対称に導入し、電子的に非対称構造としたエッジ構造を持つグラフェンナノリボン(GNR)を提案する。この新物質を合成するには官能基を分解させない低温で高分子前駆体の脱水素縮環反応によってGNRを合成する新規化学気相成長(CVD)法の開発が必要不可欠である。本研究では、脱水素縮環反応を熱による金属基板の触媒作用による反応ではなく、水素受容性ガスをCVDに用いることによって、化学反応を用いてこれを達成する全く新しいCVD技術の開発を目指す。本年度は以前に有機合成した対称型前駆体分子をCVD法を用いて、250℃で前駆体高分子をAu(111)基板上に形成させた後、酸素ガスや水素受容体分子ガスを照射させ、脱水素縮環反応を起こさせGNRを合成する低温成長法の確立について検討した。その結果、照射ガス量や温度を精密に制御することにより、通常の真空加熱法では前駆体高分子の500℃で生成するGNRが、350℃の低温でも形成する事を明らかにした。さらに、エッジ非対称構造になるように置換基を導入した前駆体分子を有機合成し、2ゾーンCVDを行ったところ、前駆体高分子が金属基板上に生成していることが走査トンネル顕微鏡による測定から明らかとなった。さらにこれに水素受容性のガスを照射したところ、GNRが形成する事が明らかとなった。以上から、水素受容性ガスの前駆体高分子への照射による低温GNR合成法に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった分子設計と有機合成、化学気相成長法による前駆体高分子生成の確認までが進み、さらに水素受容性ガスの照射によって、本研究のコンセプトの実証に成功したことから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、その他の置換基導入した非対称型分子の合成、前駆体高分子の合成を経て、様々な側鎖を有する非対称GNRへの可能性を探る。加えて、すでにGNRが生成したものについて、詳細な測定によって、その化学構造、電子校を明らかにする予定である。
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