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絶縁体基板上でのグラフェンナノメッシュの直接形成技術の開発と電子特性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K04536
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分28030:ナノ材料科学関連
研究機関広島大学

研究代表者

鈴木 仁  広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 准教授 (60359099)

研究分担者 田中 秀吉  国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター, 研究センター長 (40284608)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワード走査トンネル顕微鏡 / 自己組織化 / ラジカル化 / グラフェンナノ構造 / グラフェンナノメッシュ / ボトムアップ
研究開始時の研究の概要

電子デバイスへの応用が期待されているグラフェンナノメッシュにおいて,穴の配列や間隔などの構造を精密に制御する技術は未踏であり,その構造と電子特性の相関は実験的に解明されていない.本研究では,前駆体となる芳香族有機分子を触媒機能を有する加熱銅表面に接触させてラジカル化させ,それらを超高真空中の基板上でボトムアップ的に重合させることで,絶縁体基板上に精密に構造制御されたナノメッシュ構造を直接作製する技術を開発する.さらに形成されたナノメッシュ構造の解析とその本質的な電子特性を実験的に解明することをめざす.

研究実績の概要

今年度,加熱機構を持つ銅製ノズルを自作し,従来のクヌーセンセル蒸着源に接続することでラジカル化蒸着源を自作した.加熱機構は銅製ノズルの周囲に石英ガラスの筒をかぶせ,その外側に巻いた金属ワイヤに電流を流すことで約200度までノズルの温度を上げることができた.当該装置を用いて,超高真空下においてヘキサブロモトリフェニレン(HBTP)分子を金(111)表面上に蒸着し,走査トンネル顕微鏡によって観察した.銅製ノズルの温度が200度の状態で分子を蒸着したところ,3種類の形状が金表面に観察された.一つ目は,三つ葉状の形状であり,すでに観察されているHBTP分子の形状に一致していた.しかし,この形状の観察数は少数であった.二つ目は,長さが約2.1nmの直線状の形状であり,これが両端をそろえて0.5nmの間隔で平行に並んで列を形成し,さらにこの列が複数平行に並んでいた.三つ目は,0.5nmの円状の形状であり,これらがランダムに吸着していた.
二番目および三番目の構造については,銅製ノズルに接触することで変化した分子と考えられる.この分子の化学組成はC18H6Br6であり,この分子同じ炭素数のアルカンの長さは約2.2nmであり,観察された構造の長さとほぼ一致する.これらを考えると,銅製ノズルによって,HBTP分子が分解され,アルカンに変化し,それらが基板上で配列したと考えられる.また円状の形状は分解された分子の一部と考えられる.
今年度の成果では銅製ノズルが分子構造を変化させることを実証できたが,臭素原子だけの解離は観察できなかった.これは銅製ノズルの温度が高すぎたことを示唆しており,温度依存性について詳細な実験が必要である.
h-BN基板の原子分解能レベルでの評価のために,真空中への導入および清浄化のための技術の検討とテストを試みている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ラジカル化蒸着源の作製とその基本的な性能評価を達成できているが,銅製ノズル温度に対する分子の分解条件の探索が十分にできていない.
真空中チャンバー内へのhBN試料の導入およびその清浄表面の準備手法の確立がまだ不十分であり,hBN基板の原子分解能レベルでの評価が実現できていない点はやや計画から遅れている.

今後の研究の推進方策

ラジカル化蒸着源の銅製ノズルの温度に対する分子構造の変化を調べる.銅製ノズルの温度を100度,150度などに設定し,これを通してヘキサブロモトリフェニレン分子を金基板上に蒸着する.蒸着した分子は,走査トンネル顕微鏡で観察し,分子構造および分子が形成する構造を評価する.これにより,臭素原子の解離させ,かつ金基板上で蒸着後のアニールなしに重合構造を形成する温度条件を確立する.
hBN基板の超高真空チャンバーへの導入および清浄表面の準備を進める.基板表面の清浄化には,チャンバー内での劈開を利用する.hBN基板上に接着剤で治具を固定し,チャンバー内で治具に力を加えて機械的剥離させることを試みる.表面の清浄性,平坦性の評価には非接触原子間力顕微鏡を用いておこなう.
さらに,このhBN基板上に上記の加熱銅製ノズルを通して臭素を解離させたヘキサブロモトリフェニレン分子を蒸着し,形成される構造を非接触原子間力顕微鏡によって観察する.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] グラフェンナノ構造作製のためのボトムアップ技術2024

    • 著者名/発表者名
      鈴木 仁
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Graphene growth on patterned metal thin films2023

    • 著者名/発表者名
      Yukihiro Tominari, Shukichi Tanaka, Hitoshi Suzuki
    • 学会等名
      Graphene week 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Mesh structures formed by hexabromo-triphenylene on Cu(111) and Au(111)2023

    • 著者名/発表者名
      Y. Nagatomo, T. Kataoka, H. Sakaue, Y. Tominari, S. Tanaka, H. Suzuki
    • 学会等名
      36th European Conference on Surface Science
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Cu(111),Ag(111)基板上におけるテトラブロモビフェニル分子の形成する構造の違い2023

    • 著者名/発表者名
      松口 海人,新ケ 江周人,坂上 弘之,富成 征弘,田中 秀吉,鈴木 仁
    • 学会等名
      第84回応用物理学会秋季学術講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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