研究課題/領域番号 |
23K04542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
渡辺 剛志 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30803506)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | グラフェン / 電気化学発光 / 免疫分析 / 透明電極 / イムノクロマト法 / セルロース / 二次元物質 / 転写 |
研究開始時の研究の概要 |
疾病の兆候検知・早期診断や感染症対策の観点から、ウイルスなどの病原体を高感度かつ簡便に検出可能な技術が求められている。本研究は高感度な分析手法である電気化学発光免疫分析の電極として使い捨て可能な透明電極となるグラフェンを利用し、簡便性と高感度を両立した測定システムの構築を目指す。本研究ではイムノクロマト法とECL分析を組み合わせたECL分析用バイオチップを作製するため、ニトロセルロース多孔質膜を保護膜とするグラフェン転写法を確立し、ニトロセルロース/グラフェン複合膜をベースとするECL免疫分析バイオチップを作製する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、CVD法により作製したグラフェンを透明電極として電気化学発光免疫分析に利用し、高感度測定と迅速簡易測定を両立する分析システムを構築することにある。迅速簡易測定の実現には、イムノクロマト法のように分析チップ上に抗体等の分子認識物質を固定化する必要がある。本研究課題では、CVD法により銅基板上に作製したグラフェンを透明基板上に転写する際の支持材として多孔質セルロース膜を利用し、転写後の多孔質セルロース膜を抗体の固定化膜として利用することを提案している。2023年度は多孔質セルロース膜の作製条件の検討と作製した多孔質セルロース膜の評価を行った。従来のポリメタクリル酸メチルを支持材とするグラフェン転写法に倣い、ニトロセルロースと酢酸セルロースの溶液をグラフェン上にスピンコートして、グラフェンの転写を行った。その結果、これらのセルロース膜は多孔質構造とはならなかったが、ニトロセルロースと酢酸セルロースの混合溶液を用いて作製した膜では多孔質構造が形成され、グラフェンの転写にも成功した。さらに転写後の多孔質セルロース/グラフェン積層体の多孔質セルロース膜に抗体を担持し、がんマーカーであるCEAの電気化学発光免疫分析にも成功した。 つづいて多孔質セルロース膜を厚くするため、2023年度に導入した小型自動フィルムアプリケーターを利用した相転換法による多孔質セルロース/グラフェン積層体電極の作製を行った。これにより大面積かつ均一に多孔質セルロース膜が形成されたグラフェン電極の作製が可能になった。ウシ血清アルブミンを用いた実験により、市販品と同等のタンパク質吸着能を有することが確認された。 さらに、多孔質膜を用いたグラフェンの転写法が、従来法で必要であった“水にグラフェンを浮かべてハンドリングする工程”が不要であることがわかった。 これらの成果は2件のPCT国際出願に繋がった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023~2024年度にかけて実施を計画していた【研究項目1:ニトロセルロース膜の構造制御手法及びグラフェン転写手法の確立】と【研究項目2:ニトロセルロース/グラフェン膜のECL特性及びタンパク吸着特性の評価】が2023年度内に概ね完了し、良好な結果が得られたことから当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ECL免疫分析に適した多孔質セルロース膜の厚みの最適化を行い、ECL免疫分析を行い高感度な分析手法であることを実証する。 また検査チップ及び小型なECL分析装置のプロトタイプの作製を行う。 さらに産業応用を見据えて、本課題で提案した多孔質セルロース膜の転写法の利点を生かしたCVDグラフェン透明電極のプロセス技術の開発を行う。
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