研究課題/領域番号 |
23K04562
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28050:ナノマイクロシステム関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
植田 祥平 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 高速炉・新型炉研究開発部門 プラント技術イノベーション推進室, 研究副主幹 (80414548)
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研究分担者 |
川口 浩一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 高速炉・新型炉研究開発部門 燃料サイクル設計部, 技術副主幹 (20421547)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ゾルゲル法 / リポソーム / 界面反応場 / 熱分解 / ナノ成膜 / ゾル-ゲル法 / 機能性マイクロカプセル / リポソームの改質 / 界面反応場の形成 |
研究開始時の研究の概要 |
多様な分野で経済的かつ効率的な研究開発ニーズを有する機能性マイクロカプセルの製造において、異種材料のナノ成膜によるカプセル化をゾルゲル法により行うには、二つの異なる加水分解反応の同時制御が課題である。本研究の目的は、エマルションの熱分解を利用して両親媒性分子層を改質し極薄肉の界面反応場を形成するアプローチで、リポソームの加熱等による「水潤滑化」と「疎水性水和」を通じて層両側での異なる加水分解反応を誘起しマイクロカプセル化する、異種材料ナノ成膜反応プロセスの解明である。本研究では、その鍵となる疎水性相互作用の緩和条件とマイクロゲルの熱的・化学的・機械的特性の相関を実験的・解析的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
ゾルゲル法によるゲル球の表面改質を利用した異種ゲル成膜プロセスの解明に向け、滴下・成膜の予備条件を取得するため、既設のゾルゲル化装置へ二重構造の改良滴下ノズルを含む異種ゲル成膜機能を付加するとともに、滴下予備実験を開始し、ゾル液滴形成に係る予備条件を高速度カメラ撮影試験を通じて取得するなど、次年度からの成膜実験に向けた準備を整えた。具体的な実績を以下に示す。 ・リポソームを介する内部ゲル化成膜に先駆けた比較実験として、既設ゾルゲル化装置が採用する外部ゲル化法によっても異種材料ゲル成膜が可能かどうかを検討するため、二重構造の改良滴下ノズルを用いた予備実験を実施した。 ・既設装置が有するゲル球形成機能へ異種材料ゲル成膜機能を追加するため、別途調達したゾル原液用ステンレス製耐圧貯槽と定量送液用高精度ディスペンサーを用いて異種成膜ゾル原液を滴下ノズルへ送液する二重プロセス系統レイアウトを設計した。液滴ゾル吐出口の周囲より異種成膜ゾルを吐出する二重構造の改良滴下ノズルを設計し、ノズル・シリンジ等部品類を調達し内作した。アルカリドナー(アンモニア水溶液)を二重ゾル液滴の落下中に外部から直接スプレーし初期ゲル化を促す専用スプレーカップを設計製作した。上記の構成部品を既設装置へ追設し、二重プロセス系統を構築した。 ・ポリビニルアルコール水溶液を用いた滴下試験、および滴下状態観察のための高速度カメラによる撮影試験を実施し、正常な液滴ゾルの生成を確認した。 ・その他、溶液工程における原液調製の時間短縮化を図る高温ビーズバスを調達するとともに、解析評価等に使用するPCおよびモニター等を整備し、本研究全般の効率的な遂行のための準備を整えた。また、リポソームを介する内部ゲル化成膜法と二重滴下ノズルによる改良外部ゲル化成膜法について具体的な実験手順を策定し、既設装置所轄部署による実施安全性の確認を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・本研究の遂行にあたり、当初予定していた既設ゾルゲル化装置の運転支援に係る職員の協力が、諸事情により令和5年7月以降に確保できない状況となり、本研究に必要な技術系職員による追加支援の確保に令和5年11月まで時間を要した。 ・既設ゾルゲル化装置の運用に際し、共用者間で試験条件等に相互に影響がないよう配慮する必要上、既設装置主要部品のスプレーカップを本研究専用に別途設計製作する必要が当初計画外で生じた。しかし、技術系職員の追加支援を得られる状況に改善した令和5年11月まで当該専用部品の設計作業が滞り、最終的に本部品の製作完了が令和6年1月まで要したことにより、全体的に遅れが生じた。 ・令和5年10月から令和6年1月にかけて、研究代表者の体調不良により本研究に係る業務を制限せざるを得ない状況となった。主にソフトウェア解析に係る業務において当初計画外の遅れが生じている。 ・本研究の内部ゲル化法において当初取扱いを予定していたシリコンオイル等の一部の化学物質が、既設装置設置場所(放射線管理区域)における取扱制限廃棄物に該当することが判明し、当初策定していた実施手順を再検討する必要が生じ、当初計画外の遅れが生じている。対応として、当初より比較のため計画していた外部ゲル化成膜による予備実験を先駆けて開始した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、以下に示す安定な球状ゲル形成条件の把握、並びにゲル成膜の成立性の検討を目標とする。改良外部ゲル化成膜法については、アンモニア噴霧システムの調整、二重滴下ノズルによる異種ゲル成膜の成立性の確認、均一な粒径を得るゾル溶液条件の把握を行う。また内部ゲル化成膜法については、単一滴下ノズルを用いたリポソーム膜付ゲル球の試作予備実験に着手する。さらに、ハンセン溶解度パラメータ(HSPiP)解析ソフトウェアを入手し、リポソームの熱分解反応やゲル成膜反応に係る解析評価の開始を目指す。 ・安定な球状ゲル形成条件の把握:硝酸塩ゾル原液の溶解条件の把握、滴下撮影実験による二重液滴の形成条件(二重ノズル構造改良、ゲル化条件等)の把握、内部ゲル化の準備を行う。 ・ゲル成膜の成立性の検討:球状ゲル上への異種材料成膜の検討を、二重ゾルの外部ゲル化と、リポソーム(脂質二重層)を介する内部ゲル化からの成膜、の双方から実施する。
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