研究課題/領域番号 |
23K04575
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
松本 利映 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (10635303)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | Spintronics / スピントロニクス |
研究開始時の研究の概要 |
磁気ダンピング定数は磁化の運動に対する摩擦の作用の大きさを表す。磁気抵抗メモリ(MRAM)用に開発された高い垂直磁気異方性の材料のうち、ダンピング定数が大きい材料は情報書き込みに不利とされてきた。しかし、ダンピング定数が大きいと予想された磁性材料であっても、ある特定の磁化角度だけでもダンピング定数が小さければ、応用への道が開かれる可能性がある。本研究では、Kamberskyのトルク相関モデルをベースに、磁性薄膜のダンピング定数の磁化角度依存性を解析し、その原理を解明する。適切な角度依存性を示す磁性材料の設計指針が得られれば、MRAMにおいて、低消費電力、高速、高信頼性の書き込みが可能となる。
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研究実績の概要 |
理論計算によるFe薄膜単体のダンピング定数と過去の実験研究の文献(H. Xia et al., Phys. Rev. B, 104, 024404 (2021))の値とを比較すべく、計算環境の構築を進めている。計算のハードウェアに関しては、HPC-ProServer DPeR760xs -y231の納品までを済ませた。第一原理計算コードのVASPを用いた計算プログラムの作成に向け、Kamberskyのトルク相関モデルのフォローを、スピントロニクスのための計算機ナノマテリアルデザイン(吉田博 編著, 内田老鶴圃)中の三浦良雄著の「第9章 スピントロニクス・インターフェースデザイン」とGabriel Autes et al., J. Phys.: Condens. Matter 18 6785 (2006)を参考にして進めている。 熱浴相関時間の分布に起因するTMR センサーの1/f ノイズについて理論解析も行った。一般化ランジュバン方程式から低周波数領域における電圧ノイズのパワースペクトルの解析式を導出し、パワースペクトルが周波数に反比例する、すなわち1/fノイズであることを示した。低周波磁気ノイズに関する他の先行研究の結果との明らかな違いは、パワースペクトルが熱浴相関時間の分布に依存することである。また、本研究で提案した理論モデルから導出したノイズ強度とセンサー感度のバイアス磁場依存性は、「T. Nakatani et al., Appl. Phys. Lett. 121, 192406 (2022)」で報告された実験結果を定性的によく再現する。さらに、提案した理論モデルに基づき、TMR センサーが高い検出能力を持つバイアス磁場を予測することにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ライフイベントに伴う体調不良と休業のため。
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今後の研究の推進方策 |
VASPを用いた計算プログラムの作成を済ませ、Fe薄膜単体のダンピング定数の計算を行い、計算方法の妥当性を確認を行う。その上で、高い垂直磁気異方性を持つMgO(001)上の超薄膜のFe 1原子層~10原子層を対象とし、ダンピング定数の磁化角度依存性を調べる。続いて、過去の実験結果の報告に対応させて、L10型FePtとその規則度を落としたものに対して、磁化角度依存性を計算する。
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