研究実績の概要 |
令和5年度は二次元材料担持サブnm金属触媒の実環境下での触媒ダイナミクスの解明を目指し,触媒担体上での金属触媒の吸着・拡散特性における原子・分子吸着の影響を密度汎関数理論に基づく第一原理電子状態計算を用いて調査した.まず,触媒担体として軽元素置換グラフェンに着目した.グラフェンへ置換する軽元素としてB, N, O, Si, P, Sを,金属触媒として白金単原子と白金ダイマーを,金属触媒上の吸着子としてH, H2, O, O2, C, CO, CO2, N, N2, NO, OH, H2Oを取り扱った,まず,白金単原子においては原子や分子が吸着することによって,軽元素置換グラフェン上における吸着エネルギーが減少する場合と増加する場合が存在し,複雑な吸着子依存性が存在することが分かった.いくつかの吸着子においては吸着エネルギーが大きく変化したが,多くの吸着子においてはその変化量は0.5 eV以下であった,また,軽元素置換グラフェン上での白金ダイマーの吸着エネルギーにおいては,原子や分子の吸着によって白金単原子の場合よりも値が大きく変化することが明らかとなった.さらに,白金単原子と白金ダイマーでは吸着子ごとの吸着エネルギーの増減方向が逆転する場合も見られた.同様に,金属触媒の拡散特性に与える影響の吸着子依存性も複雑であった.そのため,吸着子の電気陰性度などのパラメータで結果を簡潔に整理することができず.そのメカニズムの解明には各組合せごとに詳細な電子状態解析が必要であることが分かった. これらの成果を1件の国内会議にて発表した.
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