研究課題/領域番号 |
23K04585
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
大江 弘晃 横浜市立大学, 理学部, 助教 (20793194)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 走査プローブ顕微鏡 / 周波数変調 / 原子間力顕微鏡 / 大気環境 / 潮解性 / 固液界面 |
研究開始時の研究の概要 |
周波数変調原子間力顕微鏡法(FM-AFM)という力で固体表面を観察する手法を用いて、厚さ1ナノメートル程度の極薄水膜で覆われた潮解性結晶表面を観察し、数原子程度の局所的な溶解析出現象が誘起される際に働く力を精密に計測する。その際、FM-AFMは約10ピコメートル(原子サイズの1/10相当)の超微小振幅で動作させる。 また、陽イオン上、陰イオン上、それ以外、など異なる位置での力-距離曲線を収集し、溶解析出現象の誘起に必要な力の空間分布をまとめる。それによって、原子レベルでの溶解析出現象の力学的制御の確立を試みる。
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研究実績の概要 |
2023年度には、周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)にZ方向(試料表面に対する面直方向)の自動位置取り機構、および試料表面調製方法の変更に取り組んだ。 まず、Z方向の自動位置取りについて、これまでは目視で数百マイクロメートルレベルの距離までAFM探針と試料表面を近接させた後、ピエゾステージのマニュアル操作で数十ナノメートル/ステップで相互作用力が生じる距離まで探針を近づけていた。この方法は、微小振幅で動作するFM-AFMでは表面構造観察前に探針先端と試料表面の衝突が避けられなかった。そこで現在使用している粗動ステージに調整および配線追加を施し、近接状況まで自動で駆動するようにして、探針と試料の激突を避ける動作を導入した。 次に、試料表面調製方法について、現在使用しているプローブ顕微鏡用コントローラは旧型であるため信号処理速度に難があり、湿度制御による試料表面吸着構造の変化の検出および試料表面近傍での探針試料間相互作用力の距離依存性解析が実施できない可能性があると分かった。そこで、固体表面に液体薄膜を形成する手法として、時間的制限が大きい湿度制御法ではなく、スピンコーターを用いた薄膜コーティング形成法を導入することにした。スピンコーターはすでに納品され、AFM試料であるマイカ表面にコーティング形成するノウハウの確立に努めた。今後は、液体コーティング薄膜で覆われた固体表面のXY方向(試料表面の面内方向)の走査に重点を置いた構造解析を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
顕微鏡コントローラの信号処理速度の問題で、固体表面近傍で数分以内の短い時間スパンで生じる変化の計測が難しいことが分かった。そこで固体表面に時間的に安定な液体薄膜構造を構築する手法が必要になった。この理由の元、固体表面にスピンコーターを用いて液体コーティング薄膜を形成することにした。以上、実験環境の調製に困難が生じたため、進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
スピンコーターの使用方法を確認できたため、今後はコーティング内環境での実験を試みる。また、Z方向(試料面直方向)の力学的分光も装置性能的に難しいため、XY方向(試料面内方向)の解析に重点を置くことに決めた。
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