研究課題/領域番号 |
23K04594
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
渋谷 圭介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (00564949)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 金属絶縁体転移 / 二酸化ニオブ / ルチル型酸化物 |
研究開始時の研究の概要 |
ルチル型酸化物NbO2は約1070Kにおいて金属絶縁体転移を示す材料であり、相転移の際に発現する特異な電気特性を電子デバイスに利用しようとする研究が活発化している。しかしながら、類似物質であるVO2と比較すると、NbO2の基本的特性の理解は不十分な状況にある。特に、相転移温度以上で現れる金属相は擬一次元伝導体であると理論的に予想されているが、その特性については未だ明らかにされていない。そこで本研究では、NbO2金属相の電子状態を解明することを目的とする。さらに、NbO2金属相が示す異方性がNbO6八面体の歪みに起因すると考え、その歪みを抑制する元素置換を行う。
|
研究実績の概要 |
ルチル型酸化物NbO2は約1070Kにおいて金属絶縁体転移を示す材料であり、相転移の際に発現する特異な電気特性を電子デバイスに利用しようとする研究が活発化している。しかしながら、類似物質であるVO2と比較すると、NbO2の基本的特性の理解は不十分な状況にある。特に、相転移温度以上で現れる金属相は擬一次元伝導体であると理論的に予想されているが、その特性については未だ明らかにされていない。 本研究では、NbO2を中心とした金属絶縁体転移を示す物質の電子状態を解明することを目的とする。当該年度は以下の項目を中心に研究を進めた。 1.エピタキシャルNbO2薄膜をパルスレーザー堆積(PLD)法によりMgF2(110)基板上に作製し、NbO2金属相における輸送特性の異方性([001]と[1-10]方向)を精査した。しかしながら、顕著な異方的特性は観測されず、理論的に予想される擬一次元的振る舞いは見られなかった。一方、NbO2絶縁体相における偏光ラマン分光測定から、Nb-Nbの二量体モードの顕著な異方性が観測された。Nb-Nbのstretchingモードは[001]方向に大きな変位を示す。この特性についてはVO2のそれと類似する部分が多く、フォノンが果たす役割において共通の原理が存在することが示唆される。 2.NbO2において、NbO6八面体が正八面体から大きく歪んでいることが高い相転移温度の原因となっている可能性がある。NbO6八面体の歪みを抑制するため、Ti置換のNbO2薄膜を作製し、上記の検証を実施した。輸送測定の結果、NbO2の相転移温度が低温側にシフトする様子が観測された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載した1.の項目についてはおおむね予定通り遂行するに至った。また、2.の項目については、計画当初から前倒しして実施した。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目以降もNbO2の元素置換に引き続き注力し、電子状態を理解することで金属絶縁体転移の原理解明に取り組む。
|