研究課題/領域番号 |
23K04595
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29030:応用物理一般関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
安部 功二 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30314074)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 水酸化ニッケル / 金属水酸化物 / インターカレーション / 伝導型制御 / 光触媒 / 水酸化物半導体 |
研究開始時の研究の概要 |
水酸化物の多くは絶縁体と位置付けられるが、水酸化ニッケルはバンドギャップが約4eV の半導体である。本研究では、色素分子を導入した水酸化ニッケル薄膜を堆積し、可視光に応答する半導体光触媒に応用する。 水酸化ニッケルは、Ni(OH)2二次元層間がVan der Waals力で結合した層状構造を持っており、その二次元層間にアニオン分子を取り込むことができる。二次元層間へのアニオン分子導入による特性制御は水酸化物に特有の不純物添加(ドーピング)方法であり、色素分子ドーピングによる水酸化ニッケルの可視光応答半導体光触媒を実証することで、半導体としての水酸化物の利用を広げる。
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研究実績の概要 |
本年度は、水酸化ニッケル薄膜の伝導型制御を中心に研究を行った。また、今後水酸化ニッケルと組み合わせる酸化物半導体の特性を調べた。
【水酸化ニッケルの伝導型制御】 バンドギャップの値のみから考えると、水酸化ニッケルは半導体とみなせる。しかし、その電気伝導は制御できていない。光触媒としての応用を考える際には、水酸化ニッケルの伝導型(n型およびp型)を制御して作ることが重要になる。電気化学堆積法でITO基板上に成膜した水酸化ニッケルはn型であったので、そこでp型化することを目指した。水酸化ニッケルが層状物質であることを利用してアニオンをインターカレーションしたところ、水酸化ニッケルがp型化することが分かった。水酸化ニッケルの伝導型を制御することに成功した。 【水酸化ニッケルの電気伝導】 水酸化ニッケルを成膜する際に金属不純物を添加すると、n型水酸化ニッケルの電気伝導性を向上できたり、バンドギャップを小さくできることが分かった。n型の水酸化ニッケルだけに有効であるが、光触媒として応用するうえで重要なパラメータとなりうる。 【酸化物半導体の選定】 水酸化ニッケルと組み合わせる酸化物半導体の候補の選定を行った。酸化チタンに酸化タングステンを担持した光触媒を作製した。この組み合わせは可視光で光触媒作用があることが知られているが、本研究でも確認した。今後水酸化ニッケルと組み合わせて、光触媒作用を向上させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インターカレーションするアニオンの量を調整することで、n型とp型の水酸化ニッケル薄膜を作りだせることを明らかにした。また、金属不純物を導入することにより、n型水酸化ニッケルの抵抗率を減少できることが分かった。水酸化ニッケルの半導体的性質の探索は計画通りに進んでいる。可視光応答光触媒への応用に向けて、水酸化ニッケルと組み合わせる酸化物半導体の成膜条件を検討中である。 水酸化ニッケルと組み合わせる酸化物半導体の候補の選定は進んでいる。酸化チタンおよび酸化タングステンを用いる計画である。
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今後の研究の推進方策 |
可視光に応答する半導体光触媒を作製し、その特性を調査する。まず、酸化物半導体のみの光触媒特性を評価し、次に水酸化ニッケルを組み合わせた光触媒を作製する。酸化物半導体の選定(酸化チタンおよび酸化タングステンを用いる計画)、水酸化ニッケルの担持方法(電気化学堆積または光照射電気化学堆積)、水酸化ニッケルへのインターカレーションが光触媒の特性に与える影響を調べていく予定である。
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