研究課題/領域番号 |
23K04600
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
福澤 理行 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (60293990)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 残留歪み / 光弾性法 / 半導体結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、半導体結晶中の残留歪み・応力を大面積かつ高解像で完全定量評価することにある。残留歪み・応力は、電気的特性の局所劣化やデバイスの不良発生要因となるため、高解像定量評価が不可欠だが、これまでは、解像度と定量性とに優れたRamanやX線回折と、大面積評価が容易な光弾性法が棲み分けており、大面積・高解像・完全定量の全てを満たした評価手法は存在しなかった。本研究では、独自開発の高感度赤外偏光計に、歪み成分の分離解析と超解像化に関するソフトウェア手法を新たに組み合わせることで、SiCやGaN等の6インチ径大型基板の残留歪み評価を非細断・高解像・完全定量で実現する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、半導体結晶中の残留応力・歪みを大面積かつ高解像で定量評価することにある。 解決すべき課題は、大面積・高解像での歪み誘起複屈折の選択的測定、および歪みテンソル成分の分離定量解析、であり、独自開発した赤外偏光計に、機械学習を活用した超解像化と有限要素解析手法を組み合わせることによって解決を図る。 補助事業期間中の研究実施計画は、①顕微赤外偏光計の構築、②複屈折マップの超解像化手法の確立、③歪みテンソル成分の分離定量解析に大別されるが、本年度は①の顕微赤外偏光計(Hybrid microscopic polarimeter: HyMP)の構築に注力した。本偏光計は、半導体ウェハ中の歪み誘起複屈折の二次元分布を高感度かつ高空間分解能で測定することに特化した装置であり、偏光光学系に加えて、偏光子の同期回転や微弱測光の電子回路、走査測定ソフトウェアを統合した独自の自動測定システムである。既存の自動偏光計では不可能なオーダの解像度と感度を実現できる点に独自開発の意義がある。開発にあたっては、当初計画の顕微コリメート光学系に加えて、感度上有利な走査型光学系にも適用可能とすることで、今後、残留歪みの少ない実試料でも複屈折マップを取得できるよう工夫した。開発したシステムの一部の性能については国際会議(ISDS2023)での発表に至った。また、研究実施計画の③歪みテンソル成分の分離定量解析については、既測定の複屈折マップを用いた理論的検討と数値シミュレーションを先行的に実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画では、①顕微赤外偏光計の構築と、②複屈折マップの超解像化手法の確立の一部を令和5年度に実施予定であった。このうち、①顕微赤外偏光計(HyMP)については、開発したシステムの一部の性能について国際会議の発表に至るなど、順調に進んでいる。②複屈折マップの超解像化については、HyMPを用いた実試料の複屈折マップがまだ十分に得られていないため、評価検証の大半は次年度に持ち越さざるを得なかった。一方で、令和6年度以降に実施予定の③歪みテンソル成分の分離定量解析については、理論的検討と数値シミュレーションを前倒しで実施できた。以上から、本研究は概ね順調にしていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、②複屈折マップの超解像化手法の確立と、③歪みテンソル成分の分離定量解析、を平行して推進する。これらの最終的な検証には、HyMPを用いた実試料の測定データが不可欠であるものの、初期段階では、既測定の複屈折マップを用いることで、実試料の測定時期に大きく左右されることなく研究を進められるよう工夫する。
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