研究課題/領域番号 |
23K04611
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
元垣内 敦司 三重大学, 工学研究科, 准教授 (00303751)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 表面プラズモン / 局在型表面プラズモン / 伝搬型表面プラズモン / ファノ共鳴 / アルミニウムナノホールアレイ / 光吸収 / ファノスイッチング / 紫外光通信 / メタ表面 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、紫外光通信に不可欠となる光スイッチング素子を、プラズモニックメタ表面のファノ共鳴を用いて実現することを目的とする。紫外領域ではこれまで、光スイッチング素子に関する研究開発がなかった。この未踏の紫外光スイッチング素子を、プラズモニクスとメタ表面の学術分野の融合技術であるファノ共鳴によって実現する。本研究では紫外光ファノスイッチング素子を実現するため、プラズモニックメタ表面におけるファノ共鳴の物理的機構を明らかにし、その知見を踏まえファノスイッチング素子の設計・作製・評価を行う。
|
研究実績の概要 |
本研究は紫外光通信に不可欠となる光スイッチング素子を、プラズモニックメタ表面のファノ共鳴を用いて実現することを目的とする。この目的に対して紫外光ファノスイッチング素子を実現するため、プラズモニックメタ表面におけるファノ共鳴の物理的機構を明らかにし、その知見を踏まえファノスイッチング素子の設計・作製・評価を行う。令和5年度はファノスイッチング素子を実現するために必要となる、プラズモニックメタ表面におけるファノ共鳴の物理的機構の解明をシミュレーションと実験から行った。 石英ガラス基板上Alと電子線レジストからなる2層型のナノホールアレイについて、厳密波結合解析法(RCWA法)を用いてシミュレーションを行い、波長 375nm、構造周期 300nm、ホール半径 85nmA、Al膜厚 80nm、レジスト厚 100nmのAlナノホールアレイを設計し、方位角0°でTM偏光の光を入射したところ、入射角10.8°で最大吸収率95%の急峻なピークを得ることができた。電磁場解析より、ナノホールの縁で発生する局在型表面プラズモンと、Al表面で発生する伝搬型表面プラズモンが共鳴するファノ共鳴によって急峻な吸収率のピークを得ることが明らかになった。また、方位角を45°にすると、TM偏光の光とTE偏光の光が異なる入射角度で吸収できることがわかり、TE偏光の吸収は複数のTM偏光の吸収モードの重ね合わせで発生することが分かった。 また、電子線描画と真空蒸着によりAlナノホールアレイ構造を作製し、波長375nmの光を照射して吸収特性を調べたところ、シミュレーション結果とほぼ同様の結果を得ることができ、実験によりシミュレーション結果の妥当性を確かめることもできた。 以上より、Alナノホールアレイにおいて、TM偏光とTE偏光の光が異なる入射角度で吸収できるので、スイッチング素子への応用ができることが示唆される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
波長375nmの光に対して、ファノ共鳴によって急峻な吸収ピークが得られることだけでなく、方位角を45°にすることでTM偏光だけでなくTE偏光の光も吸収できることもシミュレーションと実験から明らかにすることができたため、当初の計画より進展していると判断できるものと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
波長375nmにおける吸収特性をシミュレーションと実験で明らかにすることができたので、今後は他波長におけるシミュレーションと実験での特性評価、スイッチング素子の具体的な構造とスイッチング特性の評価方法に関する検討を行う。
|