研究課題/領域番号 |
23K04619
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 秋田県産業技術センター |
研究代表者 |
山根 治起 秋田県産業技術センター, 電子光応用開発部, 上席研究員 (80370237)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 磁気光学 / メタサーフェス / プラズモン / トポロジー / 光電融合 / スキルミオン / 磁気スピン |
研究開始時の研究の概要 |
トポロジーで特徴づけられる物理現象「磁気光学非相反性・トポロジカル光波・プラズモニックメタ表面・幾何学的スピンテクスチャ」の協奏を図ることで、多彩かつ高度な光波(振幅/偏光/位相)制御を可能とする『光スピン融合メタサーフェス』の実現を目的とする。光と磁気スピンとの相互作用の極限制御を目指した『トポロジカル磁気光学』に係る新たな学理の構築が最終的な目標であり、将来のデータ駆動型社会を支える光電融合型デバイスの基盤技術へと発展させる。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、トポロジーで特徴づけられる物理現象「磁気光学非相反性・トポロジカル光波・プラズモニックメタ表面・幾何学的スピンテクスチャ」の協奏を図ることで、多彩かつ高度な光波(振幅/偏光/位相)制御を可能とする『光スピン融合メタサーフェス』の実現を目的としている。光と磁気スピンとの相互作用の極限制御を目指した『トポロジカル磁気光学』に係る新たな学理の構築が最終的な目標であり、その成果は、将来のデータ駆動型社会を支える光電融合型デバイスの基盤技術としての活用が期待される。 研究初年度は特に、本研究課題を遂行するうえで基盤技術となる「磁気スピンによる光波制御」ならびに「磁気スキルミオンの生成」に関する研究に取り組んだ。CoPt反強磁性積層膜における表面プラズモン共鳴を利用することで、磁気スピンの配列状態に応じて、磁気・電気伝導・光波の3つの物理量を同時に制御できることを実証した。本研究成果は、新たな学術領域『スピンプラズモニクス』の創出につながると考えている。また、トポロジカルな磁気的テクスチャである磁気スキルミオンの生成に関する研究にも取り組んだ。CoPt垂直磁化膜の厚さを0.5nm程度の極薄状態とすることで、膜厚の減少にともなって、磁化反転機構が、【磁壁移動】→【磁気スキルミオン】→【連続回転】へと変化する様子を観測した。なお、極薄CoPt膜では、磁化反転に必要な印加磁場を2桁程度低減することに成功しており、デバイス応用の点からも有用な結果を得ることができた。さらに、極薄CoPt膜の磁気物性に関しては、放射光計測を用いた高エネルギー加速器研究機構での研究課題にも採択され、垂直磁気異方性の観点から、物理現象の解明にも取り組んだ。次年度は、これらの研究成果を微細加工技術「メタサーフェス」と組み合わせることで、『光スピン融合メタサーフェス』への展開を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、波面/偏光を高度に制御した「トポロジカル光波(光渦)」、プラズモン場によって生成される「局所キラル電磁場」、ならびに、スピンナノ構造体を単位格子とする「磁気テクスチャ(スキルミオン)」の協奏を図ることで、光とスピンとの相互作用を極限制御できる『光スピン融合メタサーフェス』の構築を目的としている。研究成果は、スピン光学に係る新たな学理の構築とともに、既存の光学素子の性能を遥かに凌駕する革新的光デバイスの実現にも繋がるものであり、学術的かつ産業的に高い独自性と創造性を有する。本研究内容を一気に実施することは困難なため、研究初年度は、本研究を遂行するうえで基盤となるコア技術の構築に注力した。 その結果、CoPt反強磁性積層膜における表面プラズモン共鳴を利用することで、磁気スピンの配列状態に応じて、磁化・電気伝導・光波の3つの物理量を同時に制御できることを実証した。新たな学術領域『スピンプラズモニクス』の創出につながる研究成果と考えている。また、厚さを0.5nm程度の極薄状態としたCoPt膜では、トポロジカルな磁気的テクスチャである「磁気スキルミオン」の生成を示唆する結果を得ることもできた。さらに、極薄CoPt膜の磁気物性に関しては、放射光計測を用いた高エネルギー加速器研究機構での研究課題にも採択され、垂直磁気異方性の発現機構の観点から、物理現象の解明にも取り組んだ。これらの研究成果については、国内学会にて発表を行った。 また、次年度以降に実施する研究内容の事前準備として、文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ(東京大学)」を利用して微細加工に関わる実験にも取り組んだ。現状は、良好な実験結果を得るまでには到っていないが、引き続き検討を進める。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、研究初年度に得られた研究成果に微細加工技術を組み合わせることで、『光スピン融合メタサーフェス』の実現に向けた取り組みを進める。電子線描画装置を使った磁性体への微細加工、ならびに、時間領域差分法を用いた磁気光学シミュレーションによる理論的なアプローチを進める。特に、メタサーフェスで構成されたプラズモニック共振器による局所キラル電磁場を利用することで、磁気スキルミオンの生成に関する研究に取り組む。また、磁気光学的な共振現象や光の局在化を利用することで、左/右円偏光の切り替えなど、外部磁場による偏光状態の高度な制御を可能とする新たな光機能デバイスの実現に向けた検討も実施する。 本研究課題では、スピン光学に関わる新たな学理の構築を目的としている。研究期間内で有用な研究成果を得るには、広範囲かつ効率的な研究遂行が不可欠である。外部の研究機関「秋田大学、千葉工業大学、東京大学、信州大学、筑波大学など」にも協力を求めて研究を進めていく計画である。また、得られた研究成果に関しては、学会・論文発表による社会・国民への積極的な情報発信ならび特許出願による実用化に向けた取り組みを、時機を逸することなく進める。
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