研究課題/領域番号 |
23K04636
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金子 政志 大阪大学, 大学院理学研究科, 講師 (50781697)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 密度汎関数法 / 金属分離シミュレーション / 錯体化学 / 元素分離 / 溶媒抽出 / 計算化学 |
研究開始時の研究の概要 |
高レベル放射性廃液の有害度低減・資源化に向けて、計算化学を活用した放射性元素の分離シミュレーション手法を開発している。本研究では、様々な放射性元素が含まれる溶媒抽出システムを計算化学によりモデル化し、化学平衡論に基づく分離予測を行う。応募者がこれまで開発してきたアクチノイド・希土類元素・白金族元素の溶媒抽出モデルを統合・改良し、開発プロセス環境で導入可能な分離剤のin silicoデザインを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、放射性元素の分離シミュレーション構築のための環境整備を行うとともに、溶媒抽出により得られるユウロピウムの分配比のマスキングの効果を、計算化学シミュレーションにより再現した。 まず、環境整備として高精度相対論効果及び電子相関を考慮可能な計算プログラムの導入を行った。前者では、TURBOMOLE, ADF, DIRACによる二成分相対論を考慮した錯体の密度汎関数計算の実行可能性を確認した。後者では、ORCAによるスカラー相対論レベルでのpost Hartree-Fock計算を検討し、アクチノイドイオンのCASCI及びNEVPT2法について計算可能であることを確認した。さらに、溶媒抽出分離における溶液のシミュレーションをより詳細に検討するため、Quantum Espressoによる第一原理計算やLAMMPSによる分子動力学計算、COSMOconfによる配座探索計算も導入した。 続いて、スカラー相対論レベルの密度汎関数法を用いて、ユウロピウムのEDTA系キレート剤によるマスキング効果について検討した。Eu錯体の錯生成定数予測式を取得し、EDTA, EDTAビスアミド, EDTAテトラアミドの三種類の錯体のモデリングを行い、錯生成定数を予測した。その結果を用いて、化学平衡計算により分配比の抽出剤濃度及びpH依存性をシミュレーションした結果、実験値の傾向を良く再現した。今後は、本手法をアクチノイドや白金族元素に展開して、放射性元素の分離シミュレーション開発を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、主に元素分離シミュレーションを行うための環境構築について検討し、相対論、電子相関、溶液シミュレーションについて高度に考慮するためのプログラムを導入した。また、ユウロピウムのマスキング効果についても計算化学シミュレーションにより検討することができ、おおむね順調に進展している。と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度に導入した計算手法を用いて、希土類元素・白金族元素・アクチノイド元素の錯体モデリングを行い、溶媒抽出分離シミュレーションに向け展開していく。
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