研究課題/領域番号 |
23K04637
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
中村 博樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (40350483)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 二酸化アクチニド / 第一原理計算 / 機械学習分子動力学 / 核燃料 |
研究開始時の研究の概要 |
現在の原子力開発において、シミュレーションを用いた安全性評価は必須である。このとき、核燃料物質の熱的な性質のデータが必要となる。正確な融点などが分からないと、高温で燃料の挙動を予測できないからである。しかし、2000度を超える高温で、熱的性質を実験で精密に測定することは難しい。そのため、実験を補完し、信頼性の高い熱的性質評価のために、原子シミュレーションが重要な役割を果たす。本研究で採用する機械学習分子動力学では、電子レベルでの計算結果を機械学習し、原子の運動をシミュレーションすることで信頼性の高い熱的性質の評価を可能とする。これによって、より安全性の高い核燃料開発への貢献が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目標は核燃料物質の熱物性を機械学習分子動力学を用いて評価することである。この目標を見据えて、本年度は以下の研究を行った。 1.非磁性である二酸化プルトニウムに対して、第一原理計算である密度汎関数法(DFT)で基底状態の磁性を正しく再現できるかどうかを確認するため、ACFDT法を用いたエネルギー評価を行った。ACFDT法では通常のDFTに比べて、高次の相関・交換エネルギーの効果を含んでおり、より信頼性の高いエネルギー評価が可能であると考えられる。結果として、DFTでは磁性状態のエネルギーが低くなるのに対して、ACFDTを用いると非磁性のほうがエネルギーが低くなり、非磁性の基底状態を再現した。この成果は国際会議ICONE31で発表する予定である。 2.機械学習分子動力学における物性値評価の信頼性を確認するために、フッ化カルシウムに対して機械学習分子動力学を適用して、高温での中性子非弾性散乱実験の結果を再現できるかどうかを確認した。フッ化カルシウムの機械学習ポテンシャルはすでに作成してあり、比熱や熱膨張などの高温物性を再現することに成功していた。今回の中性子散乱の評価の結果、当手法は十分に精度良く実験結果を再現することがわかった。さらにBredig転移と呼ばれる高温での比熱の増加とフォノンの特定のモードのソフト化が密接に換気慶していることがわかった。今回得た知見は二酸化アクチニドへの応用も可能であると考えられる。この成果は原子力学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機械学習分子動力学のための学習データの構築に用いる具体的な第一原理計算手法が確定し、学習データの構築を開始できる段階になり、順調に進展していると言える。また、フッ化カルシウムを用いた機械学習分子動力学による物性評価にも成功しており、今後の二酸化アクチニドへの応用につながるものと期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、二酸化プルトニウムに対して、第一原理計算で学習データを作成し、機械学習分子動力学ポテンシャルの構築に取り組む。同時に、磁性を考慮した機械学習分子動力学ポテンシャルを試験的に作成し、その性能について評価する予定である。
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