研究課題/領域番号 |
23K04639
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
大内 和希 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (10760407)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | テクネチウム / キャピラリー電泳動法 / 解離不活性錯体 / キャピラリー電気泳動 / 分析試薬 |
研究開始時の研究の概要 |
Tc-99は,福島第一原子力発電所(1F)の廃止措置をはじめとする放射性廃棄物を適切に処理・処分するために分析しなければならない核種である.現行法では選択性が低い分離操作を繰り返し行った後にβ線計測しているが,多段な操作や高い被ばくリスクが問題となっている.本研究では,簡便かつ安全な分析法構築をめざし,Tcと錯形成し分離検出を可能とする試薬を開発する.本研究は,①陰イオン種として存在するTcの還元に伴う錯形成反応と②その解離しやすさを明らかにした上で③分離検出を同時に行う新規のTc分析法を精密に構築する独自性があり,燃料デブリ取り出し時に発生する高線量な試料の分析など1F廃炉へ貢献できる.
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研究実績の概要 |
テクネチウム(Tc)-99は,福島第一原子力発電所(1F)の廃止措置をはじめとする放射性廃棄物を適切に処理・処分するために定量分析しなければならない重要なβ線放出核種である.現行Tc分析法では選択性が低い分離操作を繰り返し行った後にβ線計測しているが,多段な操作や高い被ばくリスクが問題となっている.これらの課題は,1回あたりの分離の分離選択性が低いこと,分離と検出が同時にできないことに起因する.陽イオンに対しては錯形成により分離や検出を可能にする試薬が報告されているが,Tcは安定な陰イオン種として存在し分離試薬などと錯体を形成し難く実現されていない.そこで本研究では,簡便かつ安全な分析法構築をめざし,Tcと錯形成し分離検出を可能とする試薬を開発し,分離性能が高いキャピラリー電気泳動法(CE)による分離へ適用することを目的とする.分離検出試薬には,①Tcと錯体を形成する機能,②速度論的な解離のしやすさに基づき分離する機能,③検出する機能を求める.2023年度は,還元によるTcの錯形成を行いCE分析による錯形成量から,Tcの錯形成のための還元法について検討した.泳動用緩衝液に検出試薬を含まないプレキャピラリー誘導体化CEによるTc,シクロヘキサンジチオールキレート剤及び還元剤を混合した試料の分析を行い,Tc錯体由来と考えられる新しいシグナルを観測した.また,β核種であるSr-90のCEによる濃縮-分離-分取法に関する成果をまとめた.この手法により検出した目的Tc錯体成分を正確に分取しβ線計測することが可能となることから,本研究を推進するうえで重要な成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は当初計画どおりにTcの錯形成のための還元法について検討し,プレキャピラリー誘導体化CEにより解離しにくいTc錯体を見出した.また,今後の研究で必要となるCEの感度向上の準備が整ったことから,おおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,配位座数や窒素-窒素架橋部が異なるキレート剤によるTc錯体を形成し,CE分析により検出の可否をスクリーニングする.検出された錯体の解離速度定数は,印加電圧を変化することで泳動時間を制御し,検出される対象錯体の減少量の時間変化から求める.この測定では前年度準備した通常のCEの10倍以上の感度向上が期待できる高感度セルを用い解離反応により減少した微量の錯体ピークを検出する.
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