研究課題/領域番号 |
23K04640
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
石川 法人 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (90354828)
|
研究分担者 |
田口 富嗣 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員 (50354832)
篠嶋 妥 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (80187137)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | イオン照射 / ナノ構造 / セラミックス |
研究開始時の研究の概要 |
課題1「再結晶化する材料に共通する材料特性を明らかにする」 TEMでナノ構造(表面ナノ構造・イオントラック)の結晶性を評価する。再結晶化する材料に共通する材料特性を明らかにする。 課題2「物質移動パターン整理し、損傷予測モデルに落とし込む」 イオントラックと表面ナノ構造の寸法を定量的に比較し、表面隆起に寄与した物質移動を定量的に解析する。ナノ構造のパターンを整理し、物質移動を反映した動的モデルを構築する。 課題3 「高精度の照射損傷予測コードを開発する」 照射損傷の予測精度の向上のために局所溶融/物質移動/再結晶化のプロセスをシミュレーションするMD計算コードを構築する。
|
研究実績の概要 |
高速重イオンビームを照射したジルコニアにおいて形成されたイオントラックとナノヒロックを透過型電子顕微鏡で微細観察した。ナノヒロックの寸法が10 nm 程度であり、局所溶融した領域の寸法と同程度であることが分かった。したがって、一旦溶融した結果としてイオントラックとナノヒロックが形成されたということが強く示唆された。次に、イオントラックを観察すると、他のセラミックスでは見られない特徴的な長方形の断面形状をしており、かつ結晶構造が溶融前と比較して大きくは変化していないことが分かった。したがって、他のセラミックスと異なり、ジルコニアにおいては、局所溶融後に、結晶構造を反映した異方的な再結晶化が起きていることが強く示唆される。一方で、イオントラックの中心部には、飛跡に沿った低密度のコア領域が形成されており、イオンビームが入射した表面への物質移動により物質欠損が形成されていることも判明した。上記の結果から、物質欠損を伴う条件においては再結晶化が不十分となり、その結果として、飛跡のごく近くでは低密度コア領域が形成されたのだと説明できる。以上の研究結果をまとめて、N. Ishikawa, S. Fukuda, T. Nakajima, H. Ogawa, Y. Fujimura, T. Taguchi, Ion Tracks and Nanohillocks Created in Natural Zirconia Irradiated with Swift Heavy Ions. Materials. 2024; 17(3):547. (https://doi.org/10.3390/ma17030547)の論文にまとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度においては、高速重イオンビームを照射したジルコニアにおいて形成されたイオントラックとナノヒロックに対する透過型電子顕微鏡による微細観察を通じて、「研究実績の概要」に挙げた研究成果を得ることができ、さらに研究成果を学会発表や論文発表まで行うことができたため、おおむね順調に進展していると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
高速重イオン照射に伴うイオントラック形成のメカニズム解明を目的として、再結晶化と物質移動をキーワードとして研究を進めていく。初年度は、再結晶化に関する現象解明に注力して、ジルコニアを研究対象とした。翌年度からは、物質移動に関する現象解明が期待できるシリコン酸化物を研究対象として研究を進める予定である。
|