研究課題/領域番号 |
23K04642
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
廣吉 直樹 北海道大学, 工学研究院, 教授 (50250486)
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研究分担者 |
伊藤 真由美 北海道大学, 工学研究院, 教授 (10339690)
PARK ILHWAN 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80844753)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 金 / 浸出 / チオ硫酸 / ヒ素 / 鉱石 / グリーンマイニング / チオ硫酸アンモニウム / 難処理鉱石 |
研究開始時の研究の概要 |
21世紀に入ってからの世界的な経済発展に伴って金属資源の需要が急増する中で、鉱山や製錬所の操業に伴う環境問題の深刻化も世界各地で進行しており、経済合理性を担保しながら、最小の環境負荷で金属を生産する新しい鉱山・製錬技術の体系(グリーンマイニング)を確立していくことがますます重要になってきている。本研究では、申請者らの先行研究の成果を発展させて、金生産のグリーンマイニング実現を目指した新しい製錬プロセスを開発し,ヒ素などの有害元素を含んだ難処理鉱石の処理に対する適用生を検証する。
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研究実績の概要 |
硫ヒ鉄鉱などの硫化鉱物の結晶中に金が閉じ込められた形で存在する難処理金鉱石から,毒性の高いシアンに替わる安全な溶媒を用いて金を抽出する技術を開発することを目指して,チオ硫酸アンモニア溶液を用いたヒ素含有難処理鉱から金の浸出・回収法について検討した. 金粉末と硫ヒ鉄鉱の混合物を用いたモデル実験を行い, チオ硫酸アンモニウム溶液中での金の抽出に及ぼす硫ヒ鉄鉱の影響を調べた. このモデル実験では硫化鉱物の結晶中に金が含まれているわけではないが, それでも硫ヒ鉄鉱が共存すると金の抽出率が著しく低下した.SEM-EDX や XPS による表面分析の結果, 浸出の過程で金の表面には硫化銅, 酸化鉄および元素硫黄などの薄膜が生成することが確かめられたが, この薄膜は硫ヒ素鉄鉱の共存の有無に関わらず生成しており, 金の浸出を抑制する不動態膜とは考えられない.溶液分析の結果によれば, 硫ヒ鉄鉱が共存する場合には存在しない時よりも急速に 金の浸出に不可欠なチオ硫酸イオンが分解することが確かめられたことから, 硫ヒ鉄鉱の共存によるチオ硫酸イオンの分解が金浸出抑制の主原因であるものと考えられる. 浸出貴液からの金の回収法として,アルミニウムを電子供与体,活性炭を電子伝達媒体粒子とするセメンテーション法について検討した.溶液分析や電子顕微鏡観察などの結果,金はアルミニウムの表面に付着した活性炭上に還元析出して回収されることが確認された.活性炭を用いた場合,溶液中に浸出触媒として含まれる銅も金とともに非選択的に還元析出してしまったが,活性炭の代わりに半導体性の酸化鉄 (マグネタイトあるいはヘマタイト) を用いて実験したところ,金のみが選択的に還元析出することを見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度に予定していた金粉末とヒ素含有鉱物を混合したモデル鉱石試料を用いた浸出実験については計画通りに実施できた.貴液からの金の回収に関する実験(セメンテーション実験)も計画に沿って実施し,一部2ヵ年目以降に予定していた項目(活性炭に替わる電子伝達媒体粒子の探索)に関しても予備的な実験を実施できたことから,当初の計画以上に進展したものと判断した.
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今後の研究の推進方策 |
計画に従って,以下の2項目について検討する. (1)難処理鉱石処理のためのフロー構築と検証:2023年度の結果を参考に、難処理鉱石の処理に適した処理フローを考案し、その有効性をモデル実験で検証する。具体的には、粉砕/事前浸出などの前処理の後、チオ硫酸アンモニウムによる浸出実験を行い、得られた浸出液を用いてAC/Al法によるセメンテーション実験を実施し、溶液分析(Park)、電気化学測定(廣吉)、セメンテーション産物のキャラクタリゼーション(伊藤)を行う。 (2)活性炭に代わる電子伝達媒介粒子の探索:新規セメンテーション技術に用いる電子伝達媒介粒子として、Fe2O3、Fe3O4などの半導体鉱物を活性炭に変えて活用できないか検討する。これらの粒子とアルミニウム粉末(電子供与体)を用いてメンテーション実験を行い、溶液分析(Park)、電気化学測定(廣吉)、セメンテーション産物のキャラクタゼーションを実施する(伊藤)。
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