研究課題/領域番号 |
23K04645
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
渡邊 良祐 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70557735)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | シリコンヘテロ接合太陽電池 / 酸化モリブデン / ゾルゲル法 / 仕事関数 |
研究開始時の研究の概要 |
安価かつ簡便な薄膜作製手法であるウェットプロセスにより、良好な電気的特性を持つ酸化モリブデン(MoOx)膜の作製、またこれを用いたSiヘテロ接合太陽電池の光電変換効率の向上を目指す。その際、MoOxへの不純物ドープによる導電率向上を試みる。さらに、ヘテロ接合界面にアルミナパッシベーティングコンタクト層を導入することで、接合界面での光励起キャリアの再結合損失の抑制を図る。 本手法を用いた、良好なヘテロ接合界面を持つ高効率太陽電池の作製指針を得ることにより、太陽電池の製造コスト低減、またウェットプロセスを用いたデバイス作製の発展に資することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、良好な電気的特性を持つ酸化モリブデン(MoO3-x)膜をウェットプロセスにて作製し、MoO3-x膜を用いたヘテロ接合型シリコン(Si)太陽電池を作製する。その際、MoO3-x膜の電気的特性の向上と光電変換効率の改善を目標とする。MoO3-xの正孔輸送特性はMoO3-xの酸素欠損に由来し、ストイキオメトリであるMoO3の導電性は低いが、酸素欠損量の増大に伴い導電性が向上し、MoO2では高い導電性を持つ。MoO3-xは仕事関数が5eV程度と大きく、シリコンとのヘテロ接合界面でのバンド曲がりが生じることで、光励起キャリアが電荷分離し太陽電池として機能する。 今年度は、MoO3-xをスピンコートによりシリコン基板上に成膜したMoO3-x/Siヘテロ接合太陽電池の試作を試み、MoO3-xプリカーサ溶液のスピンコート後焼成温度、焼成時間の最適化を行った。試料焼成条件により変化したMoO3-x膜の半導体特性について、FT-IR測定、XRD測定、導電率測定により評価した。FT-IR測定結果からは、200℃10分焼成試料についてC-O結合由来のピークが見られ、MoO3-xプリカーサ溶液が分解途中であることが示唆された。また、300℃90分焼成試料からは、熱的に安定なα-MoO3結晶を構成するMo-O-Mo、Mo-O(3)に由来するピークが見られた。XRD測定からは、300℃90分焼成試料についてピークが見られMoO3-xが結晶化していること、また他の焼成条件ではアモルファスであることが示唆された。 ソーラーシミュレータによる明状態I-V測定より、、250℃30分焼成試料での変換効率が最も高く0.35%となり、その他の焼成条件である200℃10分、また300℃90分焼成試料では、変換効率が0.1%以下と著しく低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画にて検討予定の課題の一つであった、ゾルゲル法にて形成した酸化モリブデン膜の半導体特性を評価し、また酸化モリブデン/Siヘテロ接合太陽電池を作製し、光電変換特性を評価することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
作製した試料の光電変換特性、電気的特性評価を引き続き行う。ウェットプロセスで作製したMoO3-x膜への不純物元素ドープによる酸素欠損の導入を試み、膜の導電性向上と太陽電池の光電変換効率向上を試みる。その際、仕事関数の大きさもまた酸素欠損量に依存し、酸素欠損量の増大とともに仕事関数は低下することが考えられ、太陽電池での電荷分離にとって不利に働くため、MoO3-x膜中の適切な酸素欠損量と導電性・仕事関数の関係性を評価する。また、ECRスパッタ装置で作製したMoO3-x薄膜についても電気的特性評価を並行して行い、両手法で作製した薄膜の特性について比較検討を行う。
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