研究課題/領域番号 |
23K04646
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
芳賀 一寿 秋田大学, 国際資源学研究科, 准教授 (10588461)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 亜鉛精鉱 / シリカ / 沈殿 / 浸出 / ろ過 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、亜鉛精鉱中のシリカ品位の高まりが顕著である。亜鉛精鉱中のシリカは、亜鉛製錬工程内での溶解・再析出により、ゲル状のコロイダルシリカを生成する。そのため、残渣物のろ過速度の低下や、副産物の品質を低下させるなど、様々な影響が生じることから、シリカに関する対策を早急に確立する必要がある。本提案では、シリカを多く含む亜鉛精鉱が受入可能な製錬プロセスを確立するため、既存の製錬プロセスに導入可能なシリカ分離および回収技術を提案する。具体的には、①焙焼、②硫酸浸出、③沈殿法を組み合わせることで、亜鉛製錬工程からシリカを除去するとともに、シリカ濃縮物として回収可能となる亜鉛製錬プロセスを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究は、シリカを多く含む亜鉛精鉱が受入可能な製錬プロセスを確立するため、既存の製錬プロセスに導入可能なシリカ分離および回収技術を提案することを目的に研究を実施している。研究初年度である2023年度は、主に鉱物の焙焼条件を検討し、可溶性ケイ酸鉱物が最も生成する条件を明らかにする。亜鉛精鉱中に含まれている主要鉱物として、硫化亜鉛、石英、カリ長石の3点に着目し、各鉱物標本を模擬的に配合し、所定条件で焙焼することで、どのような鉱物が生成するのかを詳細に把握するための実験を行った。加えて,焙焼により得られた各種鉱物を用いた予察的な浸出実験を行った。 一連の実験の結果,亜鉛精鉱中にケイ酸鉱物が含まれていると、精鉱中の硫化亜鉛と石英あるいはカリ長石(KAlSi3O8)が反応し,焙焼工程で可溶性ケイ酸亜鉛(Zn2SiO4)を生成することを確認した。特に、KAlSi3O8を含む亜鉛精鉱は,石英と比べ比較的低温でZn2SiO4を生成することが確認された。すなわち、選鉱技術等を用い,原料となる亜鉛精鉱からSi源であるKAlSi3O8を選択的に除去することで,可溶性Zn2SiO4の生成を抑制することができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度である2023年度は、主に鉱物の焙焼条件を検討し、可溶性ケイ酸鉱物が最も生成する条件を明らかにする。亜鉛精鉱中に含まれている主要鉱物として、硫化亜鉛、石英、カリ長石の3点に着目し、各鉱物標本を模擬的に配合し、所定条件で焙焼することで、どのような鉱物が生成するのかを詳細に把握することを目的に検討を行った。特にこの可溶性ケイ酸亜鉛を効果的に精製するための焙焼条件を検討するため,高温X線回折分析装置を用いて,シリカ源として石英およびカリ長石が含まれる場合のケイ酸亜鉛の生成条件を明らかにするなど,当初の研究目標を達成することができた。また,次年度の浸出試験の参考となる予察試験にも着手するなど,研究は概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度(研究2年目)は、当初の計画通り,焙焼後試料に対する浸出試験を中心とした実験を行う。本研究で提案する手法では、シリカを一旦容液中に溶かしこむ必要があるが、ケイ酸の溶解量は溶液のマトリックスやpH等による変動がある。そのため、ケイ素を含む可溶性鉱物として知られるケイ酸亜鉛を用い、どのような酸濃度、pH、共存元素などの溶液条件が最もシリカを溶解できるか明らかにする。加えて、浸出時の固液濃度や攪拌速度、浸出時間等も併せて検討し、焙焼後の精鉱中に含まれるシリカを多く溶解できる浸出条件を見出す。
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