研究課題/領域番号 |
23K04650
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
吉野 賢二 宮崎大学, 工学部, 教授 (80284826)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 熱発電 / 化合物半導体 / Σ粒界 / ケルビンプローブフォース顕微鏡 / 時間分解PLスぺクトル / ゼーベック素子 |
研究開始時の研究の概要 |
1950年代から熱電特性(性能指数)の大幅な向上がみられていなかった。近年、結晶粒界や異相界面を増やすことでフォノン散乱によるナノヘテロ構造の格子熱伝導度を下げる研究が積極的に行われ、高い性能指数が得られるようになった。さらに高い性能指数を得るためには、熱伝導度を下げるか抵抗率を上げることが必要である。申請者は、Cu2ZnSnS4で熱伝導度を下げ、同時に抵抗率を上げる機能性界面(Σ粒界)をナトリウムを添加することで生成することを突き止め、高い性能指数(ZT=1.6)を得ることに成功した。本研究では、Σ粒界の起源や性質を突き止め、さらに高い性能指数 (ZT>2) を得てゼーベック素子に応用する。
|
研究実績の概要 |
1950年代から熱電特性(無次元性能指数)の大幅な向上がみられていなかった。近年、結晶粒界や異相界面を増やすことでフォノン散乱によるナノヘテロ構造制御は格子熱伝導度を下げる研究が積極的に行われ、高い無次元性能指数(ZT)が得られるようになった。さらに高い性能指数を得るためには、熱伝導度を下げるか抵抗率を上げることが必要である。この熱伝導度と電流値はトレードオフの関係にある。 申請者は、これまでにCu2ZnSnS4で熱伝導度を下げ、同時に抵抗率を上げる機能性界面(Σ粒界)をナトリウムを添加することで生成することを突き止め、高い熱電性能指数(ZT=1.6)を得ることに成功した。この成功には、高品質でセンチオーダーと大型な多元系化合物単結晶成長技術がある。 本研究では、電荷的に中性な粒界や異相界面のような独自の相図による成長技術と知見から結晶成長中の冷却方法と成長速度を制御して、センチオーダーのCu2ZnSnS4単結晶を作製する。その際、Na濃度を系統的に変化させて添加し、結晶中にΣ粒界を導入する。エネルギー的に安定な機能性界面を結晶中に導入すれば、熱電特性の向上が期待できる。Σ粒界の存在及び粒界におけるポテンシャル障壁の大きさと電荷情報をケルビンプローブフォース顕微鏡で得た。ナトリウムの添加量に比例することを突き止めた。熱電特性は、一般的なゼーベック係数と熱伝導率の温度変化を測定し、同時に電気的特性はホール効果測定からキャリア伝導の温度変化を測定し、結晶中のキャリアの散乱メカニズムを突き止めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、高い熱電特性を持つ新規熱電材料としてCu2ZnSnS4を母体材料とし、単結晶を作製し、Na濃度を系統的に添加し、Σ粒界の起源および性質を突き止め、高い熱電性能指数(ZT > 2)を得ることを目的としている。更なる熱電特性を向上させるには、本研究課題である最適な機能性界面(Σ粒界)を探索し、定量的な知見を見出す必要がある。 1~2年目では、「良質な多元系単結晶の作製および機能性界面の導入」および「良質な多元系結晶の熱電特性評価」を計画している。独自の相図による成長技術と知見から結晶成長中の冷却方法と成長速度を制御して、センチオーダーのCu2ZnSnS4単結晶を作製できており、その際、Na濃度を系統的に変化させて添加し、結晶中にΣ粒界を導入することにも成功している。さらに、熱電特性は、一般的なゼーベック係数と熱伝導率の温度変化を測定し、同時に電気的特性はホール効果測定からキャリア伝導の温度変化を測定し、結晶中のキャリアの散乱メカニズムを評価できている。 しかしながら、熱伝導率の温度変化は、RTから500度、キャリア伝導の温度変化は、-200度から100度で、測定温度が異なるため、十分な相関的な評価に至っていない。そこで、時間分解PLスペクトル測定を行うことを検討している。
|
今後の研究の推進方策 |
熱伝導率の温度変化は、RTから500度、キャリア伝導の温度変化は、-200度から100度で、測定温度が異なるため、十分な相関的な評価が行えず、キャリアの起源を明確にできない。そこで、時間分解PLスペクトル測定を行うことを検討している。発光ピークのキャリア寿命を測定することにより、発光ピークの起源を予想することができる。さらに文献や計算結果と比較することにより、Σ粒界の起源を突き止めることができる。
|