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全内部反射ラマン分光で観るゲル-液晶相転移に伴う脂質膜中の抗菌ペプチドの構造変化

研究課題

研究課題/領域番号 23K04661
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分32010:基礎物理化学関連
研究機関筑波大学

研究代表者

近藤 正人  筑波大学, 数理物質系, 助教 (20611221)

研究分担者 石橋 孝章  筑波大学, 数理物質系, 教授 (70232337)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワード全内部反射ラマン分光 / 固液界面 / 基板支持脂質二分子膜 / 抗菌ペプチド / 振動スペクトル
研究開始時の研究の概要

グラミシジンAという抗菌ペプチドが膜中で示す構造や配向を,界面を利用して調べる.固体と液体の(固液)界面に,ペプチドを混合させた基板支持脂質二分子膜(SLB)を準備し,その振動スペクトルを界面敏感なラマン分光法で測定する.現有の分光装置の試料部に,温度調整機構を新たに実装し,温度変調により,脂質膜の相を流動相からゲル相に変えた際の振動スペクトル変化を精度よく捉えることを実現する.スペクトル変化を通して,グラミシジンAが各々の相の膜中で示す構造や配向の違いを明らかにする.

研究実績の概要

グラミシジンAという抗菌ペプチドを対象に,ペプチドが膜中でとる構造や配向が,膜の流動性によってどのように異なるのかを明らかにする.この目的のために,固体と液体の(固液)界面を利用するという視点から研究する.固液界面の基板支持脂質二分子膜(Supported Lipid Bilayer: SLB)を膜のモデルとして,ここにペプチドを混ぜた試料を準備する.その振動スペクトルを,全内部反射を利用した界面敏感なラマン分光で測定する.ペプチドと脂質の混合SLBの温度を上昇させることで,膜の相をゲル相から流動相に切り替える.この際の振動スペクトル変化から,相の変化に伴うペプチドの構造変化を捉える.膜のモデルとしてSLBを利用することで,配向変化も含めて捉える.
一年目は,稼働中の全内部反射ラマン分光装置の試料部に,温度調整機構を実装する.これにより,混合SLB試料を測定後,試料を装置に保持したまま,脂質膜の相の条件を制御できるように改良することを到達目標とした.装置の試料部には,プリズムが設置されており,その下方にテフロン製のトラフが置かれている.トラフはジュラルミン製のホルダー上に載せており,トラフには純水が満たされている.SLBの試料は,このプリズムと水の界面に準備している.SLBの温度制御のため,ジュラルミン製ホルダーに改良を施し,チラーで温度制御した循環水をフローできるようにした.このホルダーで,テフロントラフ内の水(SLBの下層水)の温度を調整し,SLBの温度を制御した.この温調ホルダーの試験のため,ジミリスチルフォスファチジルコリン(DMPC)というリン脂質のSLBのラマンスペクトルの温度依存性を測定した.DMPCは,24度付近でゲル相と流動相の間での相転移を起こす.20度と30度のスペクトルに明確な違いを検出でき,温調ホルダーが機能していることを確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り,分光装置の試料部に温度調整機構を実装した.また,その試験として,ジミリスチルフォスファチジルコリン(DMPC)というリン脂質のSLBのラマンスペクトルの温度依存性を測定も実施できている.そのため,一年目の到達目標には達していると判断し,この評価とした.

今後の研究の推進方策

本研究課題の二年目の開始後まもなく,研究代表者が研究機関を異動した.当初の計画は,一年目に実装した温度調整機構を用い,グラミシジンAと脂質の混合基板支持脂質二分子膜(混合SLB)のラマンスペクトル測定の試験に進むことであった.だが,異動後の機関には,スペクトル測定のための全内部反射ラマン分光装置が準備できていない.また,混合SLBの試料は,ラングミュアブロジェット・ラングミュアシェーファー(LB/LS)法と呼ばれる手法で準備する予定であったが,これに必要なLB膜作製装置も異動後の機関には設置されていない.そのため,研究計画を大きく変える必要が生じている.
新しい計画では,まず,全内部反射ラマン分光装置を異動後の機関に実装し,課題を進めることができる環境を整える.励起光源と検出器,および必要な光学部品類は概ね所有している.本課題の予算で分光器を購入し,装置を実装する.混合SLBの準備には,LB/LS法でなく,ベシクル融合法と呼ばれる方法を用いるよう計画を変更する.LB装置を購入せずに課題を進めることができるよう工夫する.新しい分光装置の試料部には,膜の準備方法の変更に対応したものを実装する.装置を立ち上げ,ベシクル融合法で準備したリン脂質のSLBのラマンスペクトル測定にまで到達することを目標に研究する.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Substituted effects on bonding characteristics of cyclopentane‐1,3‐diyl diradicals monitored by time‐resolved infrared spectroscopy2023

    • 著者名/発表者名
      Masato Kondoh, Shunsuke Kuboki, Hidetaka Kume, Eriku Oda, Manabu Abe*, and Taka-aki Ishibashi*
    • 雑誌名

      Journal of Physical Organic Chemistry

      巻: 37 号: 2

    • DOI

      10.1002/poc.4575

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 全内部反射ラマン分光によるグラミシジンAと基板支持脂質二分子膜との相互作用の観測2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木沙弥,近藤正人,石橋孝章
    • 学会等名
      第17回分子科学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] SHG活性色素Ap3の水上脂質単分子膜中におけるHD-VSFGスペクトル測定2023

    • 著者名/発表者名
      亀山拓海,近藤正人,百武篤也,石橋孝章
    • 学会等名
      第17回分子科学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] HD-VSFG分光法による空気/水溶液界面の脂質単分子膜と水溶性色素の相互作用の観測2023

    • 著者名/発表者名
      篠田亮介,近藤正人,百武篤也,石橋孝章
    • 学会等名
      第17回分子科学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Measurement of HD-VSFG spectra of SHG active dye Ap3 in lipid monolayers on water2023

    • 著者名/発表者名
      Takumi Kameyama, Masato Kondoh, Atsuya Momotake, Taka-aki Ishibashi
    • 学会等名
      9th SFG symposium
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 時間分解赤外分光で観るシクロペンタン-1,3-ジラジカルの結合性に対する置換基効果2023

    • 著者名/発表者名
      近藤正人,窪木俊介,久米英隆,小田英里久,安倍学,石橋孝章
    • 学会等名
      第17回分子科学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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