研究課題/領域番号 |
23K04664
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
勝木 明夫 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 教授 (70283223)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 磁場効果 / 結晶成長 / エントロピー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,反応の活性化状態のできやすさを決める活性化エントロピーへの磁場効果の確証と機構を解明することを目的とする.そこで,パルス磁場を用いた“その場”顕微分光測定を行い,活性化状態の磁場の影響を調べる.本研究によって,顕著な磁場効果を引き起こす条件がより明らかになり,対象物質も有機化合物から無機化合物まで幅広く応用できるため,未知の領域が多い磁気科学の基礎理論の明瞭化および一般化につながる.
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研究実績の概要 |
パルス磁場装置について,コンデンサ(高さ900 × 幅240 × 奥行600 mm,重量240 kg,5台)の設置および固定を行った.現在,昇圧トランスを設置し,スイッチング機能を持つ大電力用サイリスタのトリガー電圧条件の確認作業を行っている.多くの作業過程で試行錯誤を伴うため,コンデンサバンクの構築作業は若干遅れ気味である.そのため,顕微分光測定は,コンデンサバンクと接続する,短時間のみ磁場印加するパルス磁場装置の構築と連動しているため,測定条件の確認程度にとどまっている. ゲル中の有機結晶成長の観測について,現在,体積相転移を示すゲルを用い,様々な有機化合物をプローブとしてドープし,ゲル中の結晶成長を顕微観測および顕微分光測定を行った.プローブとして,テトラセンを用いた系について,水-テトラヒドロフラン(THF)混合溶媒を用いた場合,混合比によって,テトラセンのスペクトル変化,形状変化,デンドライト生成が観測された.これらの結果について,水とTHFへの溶解度の違いおよびモノマーとエキシマーの生成比の変化によって説明された.凝集誘起発光(AIE)を示すジフルオロボロン-β-ジケトンは,アモルファス状態と結晶状態でスペクトルが異なる物質である.この物質をプローブとし,発光スペクトル測定を行ったところ,膨潤状態と収縮状態での可逆的な変化が観測された.高磁場勾配を持つ超伝導磁石(広島大学所有)を用いた実験では,テトラセンの結晶およびデンドライトの形状に若干変化が見られた.この結果については,現在検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コンデンサバンクの構築作業についてスイッチング機能を持つ大電力用サイリスタのトリガー電圧条件の確認作業を行っているが,試行錯誤を伴う多くの作業であり,それらの作業と連動するため,磁場効果も観測する顕微分光装置の設置が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
コンデンサバンクの構築作業をさらに続けて,磁場効果観測用の顕微分光装置を組み込む作業を進める予定である.そして観測試料について,芳香族有機結晶だけではなく,無機結晶(金属結晶)成長の顕微観測も試みる予定である.
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